剱木亨弘

劔木亨弘の生涯

劔木亨弘（けんのき としひろ、1901年9月3日 - 1992年11月29日）は、日本の政治家および文部官僚として知られています。彼は参議院議員を4期務め、文部大臣としても第88代と第89代に就任しました。特に彼の業績は日本の教育制度の発展において重要な影響を与えました。

早年期と教育

劔木は福岡県田川郡大任町で生まれ、開業医の家に育ちました。豊津中学や第五高等学校を経て、1927年に東京帝国大学法学部を卒業しました。卒業後は1929年に文部省に入省し、香川県学務課長や本省教学局思想課長といった役職を務めました。彼のキャリアは戦後の教育改革に直結しており、特に1947年には学校教育局の次長に就任し、6・3・3・4制の導入に向けた法整備と予算確保に尽力しました。

政治家としての活動

1951年には福岡県知事選挙に出馬しましたが、結果は落選に終わります。しかし、その後に当時の首相である吉田茂の推薦を受けて、内閣官房副長官に就任しました。副長官の時代には、戦後の国語改革に影響を与える「戸籍法の一部改法案」に反対し、命名権を基本的人権として守るために奮闘しました。彼は衆議院本会議の直前に自由党国会対策委員長と直接交渉し、自身の名前が難読であったことを背景に、制限の撤廃を主張しました。このエピソードは彼の強い信念を示すものであり、法案採決は取り止めとなりました。

文部大臣としての業績

1952年には再び文部事務次官に就任し、1953年には自由党から福岡選挙区で参議院議員に当選しました。その後も4期連続で当選し、保守合同後は緒方派、石井派、河野派などに所属しました。1966年には第1次佐藤第3次改造内閣で文部大臣に就任し、教育政策の推進に努めます。彼は1972年の秋に勲一等瑞宝章を受章し、1977年に政界を引退します。引退後も福岡県立美術館長や共立女子大学学長を努め、その後の人生では文化的活動にも尽力しました。

最後の年

1992年11月29日、劔木は91歳で呼吸不全のため死去しました。彼の死後、従五位から正三位に叙せられました。彼の遺族や友人は、彼の知性や教育に対する貢献を讃え続けています。

囲碁と著作

劔木は囲碁の愛好者としても知られており、同郷のプロ棋士加藤正夫の後援を行い、彼が本因坊のタイトルを獲得した際には、「本因坊剱正」という号を名乗ることにも繋がりました。彼の著書には、『牛の歩み 教育にわが道を求めて』や『戦後文教風雲録 続・牛の歩み』などがあります。これらの著作は、彼の教育に関する哲学や実践についての洞察を提供しています。

もう一度検索