創造の柱

創造の柱 (Pillars of Creation)

創造の柱は、へび座の方向にあるわし星雲の中に位置し、約6,500から7,000光年の距離にあります。この壮大な天体は、ハッブル宇宙望遠鏡によって捉えられた星間物質と塵の柱である「エレファントトランクス」です。エレファントトランクスの名称は、1920年にジョン・チャールズ・ダンカンがウィルソン山天文台の60インチ望遠鏡で取得したデータから発見されたもので、ガスと塵が新たに形成される恒星の光に影響を受けながら、星が誕生していく様子から名付けられました。

この写真は1995年の4月1日に撮影され、Space.comによると、ハッブル宇宙望遠鏡が撮った写真の中でも特に優れたものであると評価されています。天文学者のジェフ・ヘスターとポール・スコーエンがこの写真を撮影し、以来、この領域は複数回観測され、他の宇宙望遠鏡による再撮影が行われています。欧州宇宙機関のハーシェル宇宙天文台や、2022年に打ち上げられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でもこの柱は再び捉えられました。

名前の由来

この天体の名称は、1857年にチャールズ・スポルジョンが説教の中で引用した「神の謙遜」というフレーズに由来しています。

組成と特徴

創造の柱は、周囲にある熱い恒星から発せられる紫外線によって蒸発した冷たい分子状水素と塵から成り立っています。左端の柱は約4光年の長さを持ち、その先端の突出部は、太陽系よりも大きく、後方のガスを強い紫外線から隠す「蒸発するガス状グロビュール」と呼ばれる構造の影によって強調されています。これらのEGGは、新しい恒星を誕生させる源となりえます。

創造の過程と破壊

また、スピッツァー宇宙望遠鏡による観測から、創造の柱近くに塵の雲が存在することが判明しました。これは、超新星からの衝撃波によって形成された可能性があり、約6000年前に創造の柱を破壊した可能性が考えられています。ただし、地球から約7000光年の距離に位置しているため、その破壊の光は未だに地球に届いていません。このことから、実際には創造の柱はすでに消滅している可能性があるのです。

一方で、天体物理学者たちは、超新星の影響ではなく、近隣の大質量恒星からの恒星風が塵を加熱しているのではないかとも主張しています。この場合、創造の柱はより穏やかな浸食を受けていると考えられます。

ハッブル宇宙望遠鏡による写真

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した創造の柱の写真は、搭載されていた広視野惑星カメラ2（WFPC2）を使い、32枚の異なる画像を組み合わせて作られました。画像には、分子雲を構成する様々な元素が発する光が異なる色で表現されており、水素は緑、1価の硫黄は赤、2価の酸素は青の色をしています。このような色の変化は、ほかのカメラと異なる倍率のもとでの撮影によって生じた視覚的ギャップが含まれています。

その他の観測

ハーシェル宇宙天文台は、2010年に遠赤外線の波長において創造の柱を詳細に観測し、内部構造と関連する力についての理解を深めました。また、2015年にはハッブル宇宙望遠鏡の25周年を祝して新たに高解像度の写真が公開され、さらに2022年にはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた新たな画像によって、創造の柱の進化と成長する恒星についてさらに深い洞察が得られています。

この写真は多くの文化に影響を与え、ナショナルジオグラフィック誌によると、Tシャツやマグカップなど様々な商品に取り入れられてきました。

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