劇団ピッカリ座

劇団ピッカリ座：子供たちの心を掴んだ人形劇団の軌跡と終焉

劇団ピッカリ座は、放送作家・劇作家であった足立昭氏が1967年に設立した、幼児・子供向けの人形劇団です。株式会社アルカを運営母体として、約40名の劇団員を擁し、年間約150公演という活発な活動を展開していました。ピーク時には年商5億2千万円に達するなど、大きな成功を収めました。

劇団の設立は1967年9月。初演作品は「宇宙人の赤ちゃんこんにちは」（初演時のタイトルは「宇宙人の赤ちゃん今日は！」）で、この主人公「ピッカリくん」が劇団名の由来となっています。「Pick early」（早起き坊や）を意味する英語が語源とされています。

千葉県船橋市に本社とスタジオ、ぬいぐるみ倉庫を構え、東京中央区銀座に営業所を置いていました。主な事業は、劇場やホール、幼稚園・保育園などでのぬいぐるみ人形劇の公演、人形や舞台備品のレンタル、そして人形の企画・製作でした。交通安全キャンペーンへの参加なども行っていました。

多彩な演目と人気作品

劇団ピッカリ座は、数多くの作品を上演しました。古典童話からオリジナル作品まで幅広く、子供たちに愛される演目を数多く生み出しました。代表的な作品には以下のものがあります。

初演作品：「宇宙人の赤ちゃんこんにちは」
代表作：「悪魔の子 赤眼のグー」「星の王子さま」「にんぎょ姫」「白雪姫と七人の小人」「オズの魔法使い」「アラジンと魔法のランプ」「ピーターパン」「不思議の国のアリス」「シンデレラ姫」「ピノキオとサーカスの狐」「アリババと40人の盗賊」「母をたずねて三千里」「ジャックと豆の木」「ヘンゼルとグレーテル」「ハックルベリーの冒険」「マッチ売りの少女」「わんぱく孫悟空」「とんちんかんちん一休さん」「三匹のこぶた」「赤ずきんちゃん」「カチカチ山」「かぐや姫」「ゆき姫」「モモタロウ」など多数の童話作品
* 交通安全作品：「犬のおまわりさんと横断歩道」「パンダちゃんのゴー・ストップ」「ロバのおまわりさんと横断歩道」「リカちゃんと学ぶ交通ルール」「トマレちゃんのストップ作戦」「自転車くんこんにちは！」など

これらの作品は、魅力的なキャラクターと、子供にも分かりやすいストーリー、そして華やかな演出で、多くの子供たちの心を掴みました。

ビデオソフトのリリース

劇団ピッカリ座の人気は、ビデオソフトにも波及しました。1991年には「劇団ピッカリ座 ぬいぐるみ人形ファンタジー」シリーズが、1992年には「劇団ピッカリ座 HOME VIDEO 世界名作シリーズ」が、そして1993年には「民音ビデオ 劇団ピッカリ座 世界名作劇場」がリリースされ、家庭でもピッカリ座の世界を楽しむことができました。これらのビデオは現在では全て廃盤となっています。

スタッフと制作

劇団の成功には、多くのスタッフの尽力がありました。足立昭氏による演出、水野純交氏などの音楽監督、そして人形デザイン、美術デザイン、製作スタッフなど、多くの人々がそれぞれの才能を注ぎ込みました。

栄光の時代から破産へ

1967年の設立から2012年1月の足立昭氏の逝去、そして2013年7月の破産宣告という劇的な終焉を迎えました。最盛期には年商が8000万円にまで落ち込み、経営難が深刻化しました。破産後、劇団の資産は債権者へと渡り、一部の人形などは他の劇団へと譲渡されました。

伝説の人形劇団

劇団ピッカリ座は、日本の子供向け人形劇史に大きな足跡を残しました。その功績は、多くの子供たちの記憶の中に、そして日本の演劇史の中に永遠に刻まれることでしょう。 彼らが作り上げた作品は、これからも人々の心に温かい光を灯し続けることでしょう。

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