劉基 (呉)

劉基 (りゅう き)

劉基（184年 - 232年）は、後漢末期から三国時代の呉に仕えた政治家であり、字は敬輿（けいよ）。後漢の揚州刺史であった劉繇（りゅうよう）の長男であり、漢の宗族の一人でした。弟には劉鑠（りゅうしゃく）と劉尚（りゅうしょう）がおり、娘は孫覇（そんは）の妻となりました。

生涯

父の劉繇は孫策（そんさく）に敗れた後、豫章（よしょう）に滞在していましたが、劉基が14歳であった建安3年（197年）頃に亡くなりました。劉基は父の喪に服するにあたり、礼を重んじ、父の旧臣からの見舞品を一切受け取りませんでした。『呉書』によると、劉基は苦難の中でも悲しみに暮れることなく、人生を楽しみ、弟たちと暮らし、常に遅くまで起きて早く寝るという生活を送り、妻妾も滅多に顔を見ることができなかったといいます。弟たちは劉基を父親に対するように敬い、客との交流も避け、ひっそりと暮らしました。

建安5年（199年）、孫策が豫章を版図に収めると、劉基は手厚く遇されました。かつて孫策に敗れて曹操（そうそう）のもとに逃れていた王朗（おうろう）は、孫策に手紙を送り、劉基が志と節操を備えた人物になるであろうから、劉繇との過去の敵対関係を水に流し、恩愛を施すよう嘆願しました。

容姿端麗で教養もあった劉基は、孫策の後を継いだ孫権（そんけん）から寵愛されました。建安24年（219年）に孫権が驃騎将軍（ひょうきしょうぐん）となると、その幕府に招かれ東曹掾（とうそうえん）となり、輔義校尉（ほぎこうい）、建忠中郎将（けんちゅうちゅうろうしょう）を歴任しました。

孫権が呉王（ごおう）に封建された際、酒宴を開き自ら酒を注いで回りましたが、虞翻（ぐほん）は酔いつぶれたふりをしてやり過ごし、孫権が去るとすぐに元の姿勢に戻りました。これに怒った孫権は、かつて曹操が孔融（こうゆう）を処刑した例を挙げて虞翻を斬ろうとしましたが、劉基が理を尽くして諫めたため、孫権は虞翻を許しました。孫権は側近に対し、今後は酒が入った状態で自分が殺すと言っても、決して殺してはならないと命じました。

孫権が呉王になると、劉基は大農（たいのう、大司農）に任じられました。呉郡（ごぐん）の張温（ちょうおん）の人物について尋ねられた際、全琮（ぜんそう）に並ぶ人物と評価しましたが、張温を気に入っていた太常（たいじょう）の顧雍（こよう）の賛同は得られませんでした。

ある暑い季節、孫権は船上で酒宴を開きましたが、雷雨に見舞われました。孫権は自分の頭上に大きな傘を差し掛けさせるとともに、劉基の頭上にも同じ傘を差し掛けるよう命じました。他の人々は傘の下に入ることができず、劉基はそのように特別な待遇を受けました。

後に郎中令（ろうちゅうれい）となり、黄龍元年（229年）に孫権が皇帝に即位すると、光禄勲（こうろくくん）に昇進し、分平尚書事（ぶんへいしょうしょじ）の職務を担いました。

49歳で亡くなると、孫権は劉基の娘を孫覇に娶らせ、劉基の家族に広い屋敷を与え、季節ごとに特別な贈り物をしました。その贈り物の量は、全琮や張昭（ちょうしょう）に匹敵するほどであったといいます。

小説『三国志演義』には登場しません。

もう一度検索