劉顕 (独孤部)

劉顕（りゅう けん）

劉顕（生年不詳 - 387年以後）は、五胡十六国時代の匈奴独孤部の大人（たいじん：部族長）であり、名は醜伐（しゅうばつ）と伝えられています。父は同じく独孤部大人の劉庫仁です。

生涯

劉顕は、父である劉庫仁の後を継いで独孤部の大人となりました。しかし、その性格は残忍であったとされ、従弟の劉羅辰からは常に警戒されていました。

385年、劉顕は叔父にあたる独孤部大人の劉眷（劉羅辰の父）を殺害し、自ら独孤部の長となりました。その直後、劉顕は新興勢力である拓跋珪の暗殺を企て、部下を賀氏のもとへ送り込みました。しかし、この計画は事前に賀氏に漏れており、拓跋珪はすでに賀蘭部へと逃亡していました。計画が失敗したことを知った劉顕は激怒し、賀氏を殺害しようとしましたが、弟の劉亢泥が一家を挙げて賀氏の助命を嘆願したため、辛くも難を逃れました。また、この頃、劉顕の部族内では内乱が発生しており、混乱に乗じて賀氏は逃亡し、故郷へと帰還することができました。

386年1月、拓跋珪は代王として即位し、かつての代国を復興させました（同年4月には魏王を称し、国号を魏と改めます）。同年3月、劉顕は依然として拓跋珪の命を狙っており、善無から馬邑へ南走しました。一方、劉顕の一族である奴真は、自身の部落を率いて代国に投降しました。同年7月、乙弗部の帥である代題が劉顕のもとに逃亡してきましたが、魏王拓跋珪は代題の孫である倍斤を後任として乙弗部を統治させました。また、劉顕の弟である劉肺泥は、奴真の部落で略奪行為を行った後、部衆を率いて魏国に投降しました。同年8月、劉顕は弟の劉亢泥を慕容永のもとに派遣し、拓跋珪の叔父である拓跋窟咄を出迎えさせました。劉亢泥は軍勢を率いて随行し、魏国の南の境界にまで迫ったため、魏国領内の諸部は騒然となりました。拓跋珪の側近である于桓らは、諸部の大人たちとともに拓跋窟咄に呼応する計画を立てましたが、この謀議は事前に漏洩し、首謀者5名が処刑される事態となりました。

387年6月、魏王拓跋珪は馬邑の南で劉顕を自ら討伐し、彌澤まで追撃してこれを打ち破りました。敗れた劉顕は慕容永のもとに南奔し、その配下となりました。同年8月、拓跋珪は凱旋しました。

劉顕の没年については正確な記録が残っていませんが、387年以降も生存していたと考えられています。

参考文献

* 『魏書』（帝紀第二、列伝第十一）

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