拓跋窟咄

拓跋窟咄（たくばつ くつとつ）

拓跋窟咄は、生年不詳ながら、代の王族として歴史に名を残しました。彼の生涯は、甥にあたる北魏の道武帝との対立によって特徴づけられます。

生涯

拓跋窟咄は、拓跋什翼犍の子として生まれました。父の死後、前秦の苻洛によって、王族の中で年長であった窟咄は長安へと移送されます。前秦の君主、苻堅は窟咄を厚遇し、学問、特に書道を学ばせました。しかし、淝水の戦いを契機とした前秦の混乱期に、窟咄は慕容永に従い東遷、西燕の新興郡太守となります。

386年、劉顕が弟の劉亢泥らを派遣し、窟咄を迎え入れました。窟咄が兵を率いて北魏の南境に迫ると、北魏に服属していた諸部族は動揺します。道武帝の側近であった于桓らが窟咄の侵攻に呼応しようと画策したため、道武帝は于桓ら５名を処刑し、残りの反乱者については不問に処しました。しかし、内紛に苦しんだ道武帝は、北方の陰山を越え、賀蘭部へと避難。安同と長孫賀曼を慕容垂のもとに派遣し、兵の徴募を依頼しました。慕容垂はこれに応じ、子の慕容麟に6000の兵を与え派遣します。

慕容麟率いる援軍が到着する前に、窟咄の軍勢が迫ります。賀染干も窟咄に呼応し、北部に侵攻。北部の大人の叔孫普洛ら13名と、多くの烏桓族が劉衛辰のもとへ逃れました。慕容麟の軍が間もなく到着するという情報が伝わると、ようやく道武帝の軍の動揺は鎮静化します。

道武帝は弩山から牛川へと進軍し、対する窟咄もまた高柳へと進軍しました。道武帝は安同を通じて慕容麟との合流を協議し、代北にて慕容麟の軍と合流を果たします。これにより、窟咄の立場は一転して窮地に陥り、逃走を図りますが、最終的に劉衛辰によって殺害されました。

史料

『魏書』巻15 列伝第3
『北史』巻15 列伝第3

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