加治田・兼山合戦

加治田・兼山合戦の概要

加治田・兼山合戦（かじた・かねやまがっせん）は、天正10年（1582年）の7月に行われた戦闘で、斎藤利堯と森長可の間で繰り広げられました。この合戦は、織田信長の死後に美濃国の権力を巡る争いの一環として発生しました。

合戦に至る経緯

天正10年の6月2日、本能寺の変によって織田信長が殺された後、同年の6月27日に開催された清洲会議では、織田信孝が新たに岐阜城の城主となり、美濃国を統治することが決まりました。信孝は次第に羽柴秀吉と対立する姿勢を見せますが、西濃や東濃の多数の有力者たちは秀吉側に与しました。

特に、鳥峰城の城主である森長可は信孝に従属しながらも、密かに秀吉派に転向し、信孝の許から人質を奪回しようと画策しました。長可は7月2日、病に伏せていた肥田忠政を襲撃し、その後、忠政は斎藤利堯が守る加治田城に逃げ込みました。長可はこれに目をつけ、加治田城への侵攻を決定します。

一方、斎藤利堯は本能寺の変の際に岐阜城の留守を任されていたこともあり、6月4日には国衆の人質を集め、秀吉と信孝の動向を見守っていました。

合戦の進行

天正10年7月3日（1582年8月1日）、森長可は3000人を率いて加治田城の支城である牛ヶ鼻砦に接近し、飛騨川を渡って攻撃を開始しました。斎藤軍は守備を固めましたが、戦闘は長引き、結局斎藤軍は40名以上の戦死者を出して撤退を余儀なくされました。この敗北を受けた森軍は、再度加治田城を攻めるために軍を整えます。

翌日の7月4日、斎藤軍は利堯を総大将として決戦に臨みました。森軍は夕田から進軍してきましたが、斎藤軍も巧妙に防備を固め、勇敢に森軍に立ち向かいます。戦闘は激化し、完成された戦略によって斎藤軍は森軍を次第に押し返すものの、お互いに多大な損害を受けました。

合戦の結末

合戦の後半になって、違った展開が生まれました。斎藤軍が部隊を分散する作戦は失敗し、森軍に中央突破を許してしまいました。この結果、斎藤軍は散乱し、多くが戦死する事態に追い込まれました。森軍は勝利を収め、勇壮な姿で凱旋しました。記録によると、両軍は互いに壮絶な戦を繰り広げた末、斎藤軍が森軍を押し返したものの、結果的には引き分けに終わったとされています。

合戦後の影響

合戦が終わると、斎藤利堯は死んだとされる一方で、実際には亡くなっておらず信孝に仕え続けていたとも言われています。斎藤利堯の家臣たちは隠棲しながら、その後も織田秀信に仕官しました。加治田衆の多くは森家に仕官し、加治田城は森氏に引き継がれます。森家は後に秀吉の重臣とし、戦国時代の名門として知られるようになります。

このように、加治田・兼山合戦は戦国時代における権力の移行の重要な一幕とされ、その結果がその後の歴史にも大きな影響を与えました。

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