日本教育再生機構

日本教育再生機構について

一般財団法人日本教育再生機構は、内閣府直属の「教育再生会議」を民間の立場から支援することを目的に、2006年10月22日に設立されました。この団体は、教科書採択において育鵬社発行の教科用図書を推奨していることで知られています。

設立の背景

設立の背景には、「新しい歴史教科書をつくる会」（つくる会）の分裂騒動があります。法学者の八木秀次は「つくる会」の会長を務めていましたが、内紛により解任。その後、八木氏を含む「つくる会」の脱会者たちが集まり、新たな団体の設立を模索しました。この動きの中心人物となったのが、後に日本教育再生機構の初代理事長となる八木秀次です。

2006年、安倍晋三元首相（当時は官房長官）は講演で自民党総裁選への意欲を示し、八木氏は伊藤哲夫、西岡力、島田洋一、中西輝政らと「五人組」と称されるグループを結成。安倍氏のブレーンとして様々な提言を行いました。同年9月には安倍氏が自民党総裁に当選し、第一次安倍内閣が発足。これを機に、教育改革を民間の立場から後押しする団体として、日本教育再生機構が設立されました。

組織と活動

日本教育再生機構は、複数の顧問が日本会議の幹部を務めており、育鵬社版の教科書採択を推進する活動を各方面で行っています。この団体は、教育委員会や学校関係者への働きかけを通じて、教科書採択に影響を与えようとしています。

2009年6月には一般財団法人に移行し、組織としての基盤を強化しました。

安倍元首相との関係

日本教育再生機構と安倍元首相の関係は深く、2012年2月には、地方組織である「日本教育再生機構大阪」が開催したシンポジウムで、理事長の八木秀次が進行役となり、安倍元首相と当時の大阪府知事である松井一郎氏が対談しました。この対談で、安倍元首相は教育委員の選任における首長の権限について言及し、育鵬社の教科書採択を推進する姿勢を示しました。このシンポジウムがきっかけとなり、安倍元首相と松井氏との関係が深まったとされています。

教育再生首長会議との連携

2014年6月には、教育理念を共有する首長らの任意団体「教育再生首長会議」が発足。この団体は日本教育再生機構に事務局を委託しており、年間約400万円の委託費を自治体の公費から支払っています。このことから、日本教育再生機構が公的な資金を利用して、自らの活動を推進しているとの指摘もあります。

関係図

日本教育再生機構の設立には、「新しい歴史教科書をつくる会」の分裂が大きく影響しています。

新しい歴史教科書をつくる会 (1996年発足) - 教科書出版社は扶桑社、のちに自由社。
日本教育再生機構、教科書改善の会 (2007年発足) - 教科書出版社は育鵬社（扶桑社の子会社）。

これらの関係図からも、日本教育再生機構が特定の出版社と連携し、教科書採択に影響を与えようとしていることが伺えます。

参考文献

俵義文『戦後教科書運動史』平凡社〈平凡社新書〉、2020年12月17日。ISBN 978-4582859638。
斉加尚代『教育と愛国―誰が教室を窒息させるのか』岩波書店、2019年5月30日。ISBN 978-4000613439。

関連項目

教育再生会議
教育再生首長会議

外部リンク

一般財団法人日本教育再生機構 (kyoikusaisei) - Facebook
nihonkyouikusaisei - YouTubeチャンネル

日本教育再生機構は、教育政策に大きな影響力を持つ団体として、その活動内容が注目されています。特定の思想や政治的な背景を持つ団体との関係や、教科書採択における偏りなどが問題視されることもあります。

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