加納朋子

加納朋子（かのう ともこ）は、1966年生まれの日本の小説家であり、推理作家としても知られています。福岡県北九州市出身で、夫もまた推理作家である貫井徳郎氏です。

経歴

文教大学女子短期大学部文芸科を卒業後、化学メーカーに勤務していました。1992年、短編小説「ななつのこ」で第3回鮎川哲也賞を受賞し、作家として華々しくデビューを飾ります。1995年には、短編集『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞（短編および連作短編集部門）を受賞。この受賞を機に会社を退職し、専業作家としての道を歩み始めました。

2010年には、急性白血病と診断され、抗がん剤治療と弟からの骨髄移植を経て、病を克服しました。この闘病生活を赤裸々に描いたノンフィクション作品『無菌病棟より愛をこめて』を2012年に発表し、多くの読者に感動を与えました。

作風と特徴

加納朋子の作品は、推理小説を基盤としながらも、血生臭い殺人事件は少なく、日常に潜む小さな謎を解き明かす「日常の謎」と呼ばれるジャンルを得意としています。物語は基本的に大団円を迎えることが多く、読後感は温かく、心が癒されるような作品が多いのが特徴です。

彼女の作品は連作短編集の形式が多く、それぞれの短編に散りばめられた伏線が、短編集全体を貫く大きな謎へと繋がっていくという、本格ミステリの要素も兼ね備えています。また、デビュー作である『ななつのこ』は、敬愛する作家である北村薫氏に捧げるために書かれたもので、初期の作品には北村薫の影響が見られます。しかし、次第に加納朋子独自の温かみのある世界観を確立し、多くの読者を魅了しています。

受賞歴と候補歴

加納朋子は、数々の賞を受賞しており、その実力が評価されています。

受賞

1992年 - 『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞
1995年 - 『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞（短編および連作短編集部門）
1995年 - 第6回北九州市民文化奨励賞
2008年 - 『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞

候補

1995年 - 『掌の中の小鳥』で第17回吉川英治文学新人賞
2009年 - 『少年少女飛行倶楽部』で第25回坪田譲治文学賞

主な作品

加納朋子の作品は、多くのシリーズと独立した作品群に分けることができます。以下に代表的な作品をまとめました。

駒子シリーズ

『ななつのこ』
『魔法飛行』
『スペース』
『ななつのこものがたり』(絵本)
『1（ONE）』

陶子シリーズ

『月曜日の水玉模様』
『レインレイン・ボウ』

アリスシリーズ

『螺旋階段のアリス』
『虹の家のアリス』

「ささら」シリーズ

『ささら さや』
『てるてるあした』
『はるひのの、はる』

「七人の敵がいる」シリーズ
『七人の敵がいる』
『我ら荒野の七重奏』

ノンシリーズ

『掌の中の小鳥』
『いちばん初めにあった海』
『ガラスの麒麟』
『沙羅は和子の名を呼ぶ』
『コッペリア』
『モノレールねこ』
『ぐるぐる猿と歌う鳥』
『少年少女飛行倶楽部』
『トオリヌケ キンシ』
『カーテンコール！』
『いつかの岸辺に跳ねていく』
『二百十番館にようこそ』
『空をこえて七星（ななせ）のかなた』

ノンフィクション

『無菌病棟より愛をこめて』

メディアミックス

加納朋子の作品は、漫画やテレビドラマ、映画など、様々なメディアで展開されています。

漫画

『ささら さや』（画：碧也ぴんく）
『ガラスの麒麟』（画：碧也ぴんく）

テレビドラマ

『てるてるあした』（2006年、テレビ朝日系、主演：黒川智花、原作：てるてるあした / ささら さや）
『七人の敵がいる!〜ママたちのPTA奮闘記〜』（2012年、フジテレビ系、主演：真琴つばさ、原作：七人の敵がいる）

ラジオ

『バルタン最後の日』（2010年、NHKラジオ第一、語り：塩澤大輔）

映画

『トワイライト ささらさや』（2014年、主演：新垣結衣、配給：ワーナー・ブラザース、原作：ささら さや）

加納朋子の作品は、日常の小さな出来事から生まれる謎を、温かい視点で描いています。読後感が良い作品が多いため、多くの読者に愛されています。

もう一度検索