加藤光泰

加藤光泰（かとう みつやす）

加藤光泰は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名であり、豊臣秀吉の家臣として知られています。

生涯

天文6年（1537年）、美濃国で加藤景泰の長男として生まれた光泰は、初め斎藤龍興に仕えました。斎藤氏の没落後、浪人となりますが、織田信長との戦いでの活躍が秀吉の目に留まり、家臣となります。

元亀2年（1571年）には、浅井長政の横山砦攻撃を撃退する功績を挙げ、秀吉から知行を与えられました。天正6年（1578年）の三木城攻めでも活躍し、天正10年（1582年）の本能寺の変後、山崎の戦いでは明智光秀の本隊に奇襲をかけ、秀吉軍を勝利に導くきっかけを作りました。この功により、丹波国周山城1万5,000石に加増されています。

その後も転封を重ね、賤ヶ岳の戦いや小牧・長久手の戦いでも軍功を立てますが、天正13年（1585年）には蔵入地の管理を巡って秀吉の勘気を被り、一時蟄居を命じられます。

天正15年（1587年）に赦免された後は、佐和山城2万石を与えられ、従五位下・遠江守に叙任されます。天正18年（1590年）の小田原征伐では駿府に在番し、山中城攻略の功績により、甲斐国24万石を与えられました。

甲斐国では、国中・河内支配を嫡男の貞泰に、郡内地方を養子の光吉に任せ、寺社領の安堵や検地を実施し、甲府城の築城を開始しました。文禄の役では自ら出陣し、陣中から領国経営の指示を出していましたが、文禄2年（1593年）に西平浦で病死しました。享年57。

遺骸は甲斐善光寺に葬られましたが、後に大洲曹渓院へ移されました。

毒殺説

光泰の死後、嫡男の貞泰は若年を理由に領地を召し上げられ、後に美濃国黒野へ国替えとなりました。甲斐国は浅野長政、幸長親子に与えられます。

『北藤録』によれば、光泰は朝鮮出陣中に石田三成と対立し、三成に毒殺されたという説があります。この説には信憑性を認める研究もあり、同時代でも一定程度信じられていたようです。貞泰への所領相続が認められなかったことも、奉行の差し金ではないかと疑われました。

関ヶ原の戦いでは、貞泰は徳川方に属し、本領を安堵され、後に伊予国大洲藩初代藩主となりました。

系譜

父：加藤景泰
母：不詳
室：一柳可遊妹
次男：加藤貞泰（1580-1623）
生母不明の子女
女子：竹中重門正室
男子：加藤光直（1584-1633）
養子
男子：加藤光吉

参考文献

高木昭作 「加藤光泰」『国史大辞典』、吉川弘文館。
『山梨県史』通史編3近世1
平山優 「加藤光泰の生涯」『山梨県史だより』14号。
経済雑誌社 編『大日本人名辞書』1896年、589頁。
加藤泰 編『北藤録』伊予史談会、1982年。
愛媛県 編「国立国会図書館デジタルコレクション 大洲藩」『愛媛県誌稿上巻』愛媛県、1917年。

関連項目

田中砦跡

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