一柳可遊

一柳可遊：豊臣政権を支えた武将の生涯

一柳可遊（ひとつやなぎ かゆう/よしゆき）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。一柳右近の名でも知られ、豊臣秀吉に仕え、その才能を発揮しました。しかし、豊臣秀次事件に巻き込まれ、悲劇的な結末を迎えます。

生い立ちと秀吉への仕官

可遊は美濃国の一柳氏の出身で、一柳直末・直盛兄弟とは従兄弟にあたります。元々は斎藤道三の家臣であったとも伝えられ、長良川の戦いでは道三に味方した武将の中にその名を見ることができます。その後、従兄弟たちと共に羽柴秀吉に仕え、秀吉が近江長浜城主となった頃には、黄母衣衆の一人に選ばれました。

桑名城主と伊勢国の検地奉行

天正19年（1591年）には豊臣秀次に付けられ、伊勢国桑名の領主となります。この時、桑名城を築城しました。文禄元年（1592年）の文禄の役では、秀吉の出兵計画において壱岐の船奉行としてその名が記されており、伊勢国内での水主動員に関わった文書も残っています。

文禄3年（1594年）には伊勢国で太閤検地が行われ、可遊は検地奉行の一人として活躍しました。この検地は、秀吉が派遣した7人の奉行のもとで統一的に行われ、可遊自身も検地後に1万9595石余を支配していたことが確認されています。

豊臣秀次事件と最期

文禄4年（1595年）、豊臣秀次事件に連座し、徳川家康に預けられた後、切腹という悲劇的な最期を遂げました。秀吉に重用されながらも、時代の波に翻弄された人物と言えるでしょう。

家族と親族

可遊の室は加藤景泰の娘で、加藤光泰の姉にあたります。妹は加藤光泰に嫁いでおり、二重の縁組を行っていました。長男の加藤光吉は加藤光泰の婿養子となりましたが、後に光泰に実子が生まれたため、加藤家の家臣となり、大洲藩加藤家の家老を世襲しました。二男の一柳孫右衛門も加藤家に仕え、大坂の陣で戦死しています。

可遊の足跡

可遊が桑名城主を務め、伊勢の検地奉行を務めたことは、長らく一柳直盛と混同されていました。しかし、近年研究が進み、可遊の業績が明らかになっています。文禄検地での年貢高は江戸時代まで引き継がれたものもあり、可遊が職人の由緒や年貢を承認・設定する役割を担っていたことがわかります。伊勢地域においては、検地奉行を務めた可遊が権威として位置づけられ、後年に編纂された地域旧家の系譜では、可遊との縁を強調するものも存在します。

桑名城築城の際には、神戸城の天守が移築されました。この天守は、慶長6年（1601年）に桑名に封ぜられた本多忠勝が新たに城を築いた際に、神戸櫓として残されました。

一柳可遊は、豊臣政権下で重要な役割を果たした武将であり、その生涯は多くの謎に包まれています。今後の研究によって、彼の人物像や業績がさらに明らかになることが期待されます。

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