加藤千笑

加藤千笑（かとう ちえ）

加藤千笑（2001年9月13日生まれ）は、日本棋院中部総本部所属の囲碁棋士で、三段の段位を持ちます。岐阜県岐阜市出身で、羽根直樹九段の門下として研鑽を積んでいます。NHK学園高校を卒業。

プロ入りまでの道のり

加藤は、生まれつき手足の成長が遅く、骨が弱くなる骨形成不全症という難病を抱え、車いすでの生活を送っています。幼い頃、父親が図書館で借りてきた囲碁の入門書をきっかけに囲碁を始めました。岐阜市内の囲碁教室で腕を磨き、2013年には小学6年生で第34回少年少女囲碁大会に出場し、女子として14年ぶりとなる優勝を果たしました。この優勝を機に、日本棋院中部総本部の院生となります。

しかし、プロの道は決して平坦ではありませんでした。男女混合の一般採用試験で4回、女流棋士採用試験で3回、不合格となるなど、苦難の時期を過ごします。それでも諦めることなく努力を続け、2018年2月の女流棋士関西総本部採用試験本戦で11勝0敗という圧倒的な成績を収め、ついにプロ入りを果たしました。当時を振り返り、「諦めそうになったこともありましたが、できないことが多いからこそ、自分にはこれしかないと言い聞かせて頑張りました」と語っています。

プロとしての活躍

2018年4月に16歳で入段し、関西総本部に所属。その年の第22期女流棋聖戦では予選を勝ち抜き、本戦でも準決勝に進出しました。藤沢里菜に敗れはしたものの、入段初年度に15勝6敗という好成績を挙げ、その実力を示しました。2019年4月には中部総本部に移籍しています。

2021年には、第8期女流立葵杯でベスト4に進出。第25期女流棋聖戦では、本戦2回戦で当時女流棋戦無敗だった藤沢里菜女流四冠に勝利するという快挙を成し遂げました。挑戦者決定戦に進出しましたが、鈴木歩七段に敗れ、挑戦権獲得はなりませんでした。2022年には、第41期女流本因坊戦の挑戦者決定戦に進出しましたが、上野愛咲美女流棋聖に敗れています。

人物像

病気の影響で骨折しやすい体質であり、母親によれば「たぶん20回くらいは骨折している」とのことです。元々は右利きでしたが、右腕を骨折した際に固定がうまくいかず、骨が変形してしまったため、以降は左手で囲碁を打っています。院生時代に行った点滴治療が功を奏し、それ以降は骨折していないそうです。

人生の転機として、小学4年生の時に初出場した第32回少年少女囲碁大会全国大会での経験を挙げています。ここで自分より強い同年代の存在を知り、囲碁に没頭するようになったといいます。その後、羽根泰正が主宰する泰正会に入り、第34回優勝後には羽根直樹に師事しました。

大会では高さの低い机が用意されたり、中部総本部に多目的トイレが設置されたりと、周囲のサポートも彼女の活躍を支えています。通信制のNHK学園高校に通い、午前中は自宅で勉強、午後は囲碁の勉強に励む日々を送りました。

囲碁について、「碁盤の上では自分の体のハンディも関係ない。囲碁を楽しめるようになってからは、病気のことで悩むことがなくなりました」と語っています。

棋歴

女流本因坊戦 挑戦者決定戦進出（第41期）
女流棋聖戦 挑戦者決定戦進出（第25期）

昇段履歴

2018年4月1日 初段
2020年10月30日 二段（勝数規定）
2023年9月19日 三段（勝ち星対象棋戦通算40勝）

外部リンク

日本棋院の加藤千笑紹介ページ
痛みを乗り越えて―加藤千笑二段挑戦の物語（前編）
痛みを乗り越えて―加藤千笑二段挑戦の物語（後編）
* 加藤千笑 (@thousandsmile15) - X（旧Twitter）

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