上野愛咲美

上野愛咲美：新時代の風を呼ぶ、囲碁界の若きハンマー

上野愛咲美（うえの あさみ）は、2001年10月26日生まれ、東京都中野区出身の囲碁棋士。日本棋院東京本院に所属し、六段の段位を持ちます。師は藤澤一就八段。N高等学校を卒業。

輝かしい戦績

彼女の活躍は、単に「女流棋士」という枠には収まりません。国際女流棋戦での優勝、最年少での女流グランドスラム達成、そして何よりも、男性棋士を含む全棋士参加のタイトル戦である竜星戦で、女流棋士として史上初の決勝進出を果たしたことは、その実力を証明する出来事でした（第28期竜星戦準優勝）。

さらに、男女混合の若手棋戦である若鯉戦では連覇（第16・17期）を達成。新人王戦（第48期）では、女性として初の優勝を飾るなど、数々の輝かしい実績を誇ります。

実妹の上野梨紗も女流棋士（2019年4月入段）であり、姉妹揃って囲碁界で活躍しています。

幼少期からプロへ

4歳で囲碁を始めたきっかけは、宮崎県宮崎市に住むアマチュア有段者の祖父からの勧めでした。5歳からは、師となる藤澤一就が主宰する新宿こども囲碁教室に通い始め、その才能を開花させます。小学2年生で日本棋院東京本院の院生となりました。

プロ入りの道は決して平坦ではありませんでした。2014年、2015年の女流棋士採用試験では、いずれも合格を逃します。特に2015年の冬季棋士採用試験では、最終戦を前に3人が並び、勝った方が入段を確定させるという状況で敗れ、涙をのみました。

しかし、2016年の女流棋士採用試験で首位となり、ついにプロ入りを果たします。14歳での入段は、その才能の証でした。

タイトル獲得、そして快進撃

2018年1月、第21期女流棋聖戦で当時5連覇中だった謝依旻を破り、自身初のタイトルを獲得。16歳3ヶ月での女流棋聖獲得は、当時史上最年少記録でした。この活躍により、第52回棋道賞新人賞を受賞しました。

その後も快進撃は止まらず、2019年には女流本因坊のタイトルを獲得。同年の通算成績は44勝25敗で、日本棋院の女流棋士の年間最多勝記録を更新しました。

2022年にはSENKO CUPワールド碁女流最強戦で優勝。日本人として初の快挙を成し遂げました。

アグレッシブな棋風

上野愛咲美の棋風は、非常に攻撃的です。相手の石を容赦なく仕留めることから「ハンマーを振り回すような碁」と評されます。得意とする早碁では、その攻撃力が遺憾なく発揮されます。

人柄とエピソード

竜星戦での活躍を受け、日本記者クラブで記者会見を行った際、17歳という若さで記者クラブ史上最年少記録を更新しました。

対局日の朝には、験担ぎとして縄跳びを777回跳ぶというルーティンを持っています。

妹の梨紗との対局では勝利したものの、「また当たったら大変だと思いました」と語るなど、姉妹の絆も垣間見えます。

今後の活躍

上野愛咲美は、現在の女流タイトル戦で史上2人目となるグランドスラムを達成し、更なる高みを目指しています。国内だけでなく、国際棋戦でもその実力を発揮し、囲碁界を牽引する存在として、今後の活躍が期待されます。

タイトル

広島アルミ杯・若鯉戦 2期（第16-17回／2021・2022）
SENKO CUPワールド碁女流最強戦 1期（第4回／2022）
新人王戦 1期（第48期／2023）
呉清源杯世界女子囲碁選手権 1期（第7回／2024）

受賞歴

2018年 棋道賞新人賞
2019年 棋道賞女流賞
2021年 棋道賞最多勝利賞・最多対局賞
2022年 棋道賞国際賞・最多勝利賞・最多対局賞、秀哉賞
2023年 棋道賞女流賞
2024年 棋道賞国際賞

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