加藤昌利

加藤 昌利（かとう まさとし）

1935年5月10日に兵庫県洲本市で生まれた加藤昌利氏は、プロ野球の選手として、そして審判員として、長年にわたり野球界に貢献した人物です。残念ながら1985年5月9日、49歳という若さでその生涯を閉じました。

輝かしい高校時代

洲本高等学校で野球に打ち込んだ加藤氏は、捕手としてチームの要を担いました。1953年には、母校が初めて春の選抜高等学校野球大会に出場。四番打者を務め、エース北口勝啓投手とのバッテリーで勝ち進みました。決勝戦では、のちにプロでも活躍する片岡宏雄氏を擁する強豪、浪華商を相手に北口投手が完封勝利を収め、淡路島勢として初の全国制覇という歴史的快挙を成し遂げました。当時のチームは、その快進撃から「瀬戸内少年野球団」という愛称で呼ばれました。このチームには、北口投手や加藤氏のほか、のちに法政大学に進んだ遊撃手の志貴正視氏らが名を連ねていました。

プロ野球選手としての軌跡

高校での圧倒的な活躍が評価され、加藤氏は1954年に近鉄パールス（現在の大阪近鉄バファローズの前身）に入団しました。プロ入り後は、1955年に控え捕手ながら一軍に定着。入団3年目の1956年には、原勝彦氏に代わり正捕手の座を獲得しました。

しかし、翌1957年は怪我などに見舞われ出場機会が激減。1958年には外野手へのコンバートを経験します。1959年には再び捕手として起用され、開幕からレギュラーマスクとして90試合に先発出場を果たしました。しかし、再び故障の影響もあり、1960年からは再度外野手へ転向。1961年には左翼手として87試合に先発するなど、レギュラー格として出場しました。1962年以降は捕手と外野手を兼任する起用もありましたが、1963年には出場機会が減少し、この年限りで惜しまれつつ現役生活に別れを告げました。

近鉄での背番号は、プロ入りから引退まで一貫して「10」でした。また、現役時代のチームメイトの中には、斎田忠利氏、村田康一氏、牧野伸氏といった、後にプロ野球の審判員として活躍する面々がいたことも特筆されます。

プロ野球審判員として

現役引退後も野球への情熱は衰えず、その翌年である1964年にはパシフィック・リーグの関西審判部へ入局し、プロ野球の審判員として新たな道を歩み始めました。正確なジャッジで試合を支え、プロ野球の発展に貢献。

パ・リーグが審判員に袖番号を導入した1977年以降、加藤氏が着用していた背番号は「6」でした。この番号は、加藤氏の死後、1986年から東利夫氏に引き継がれています。

審判員としても順調にキャリアを重ねていましたが、残念ながら病に倒れ、1984年シーズン終了後に療養に入りました。そして、1985年5月9日、現役の審判員である間に、志半ばでこの世を去りました。享年49。選手、審判としてプロ野球に尽力した加藤昌利氏の早逝は、野球界にとって大きな損失でした。

詳細情報

背番号: 10 （1954年 - 1963年）
審判員袖番号: 6 （1977年 - 1985年）

関連項目

兵庫県出身の人物一覧
大阪近鉄バファローズの選手一覧
* プロ野球審判員一覧

（注：個人年度別打撃成績などの詳細情報は、NPB公式サイト等で確認できます。）

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