勇士殺しのアースムンドのサガ

勇士殺しのアースムンドのサガ

『勇士殺しのアースムンドのサガ』（古ノルド語: Ásmundar saga kappabana）は、アイスランドに伝わる伝説的なサガの一つであり、全10章で構成されています。この物語は、ゲルマン語の叙事詩『ヒルデブラントの歌』を基にしていますが、ティルフィング伝説の要素も取り入れられています。物語の最後には、『ヒルディブランドの挽歌』と呼ばれる歌が登場します。

物語の背景と構成

このサガは、英雄的な戦士たちの運命、家族の絆、そして復讐の連鎖を描いています。登場人物たちの複雑な関係性と、彼らが直面する困難な状況が、物語に深みを与えています。サクソ・グラマティクスの『デンマーク人の事績』にも類似した物語が見られますが、登場人物の名前などが異なっています。

あらすじ

フン族の王ヒルディブランドには、ヘルギという息子がいました。ヘルギはスウェーデン王ブズリの娘ヒルドと結婚し、息子をもうけます。その息子は祖父ヒルディブランドによって育てられ、同じくヒルディブランドと名付けられました。成長したヒルディブランドは「フン族の勇士」として知られるようになります。

ヘルギの死後、母方の祖父であるブズリがデンマーク王アールヴに殺害されます。アールヴはヒルドを捕らえ、勇士アーキに与えます。アーキとヒルドの間にはアースムンドという息子が生まれます。

ヒルディブランドは父の仇であるアールヴを討ちますが、アールヴの娘エーサは、アースムンドにヒルディブランドを殺せば結婚すると約束します。アースムンドはヒルディブランドを討つためザクセンへ向かいます。ザクセンでは、ヒルディブランドとその部下であるベルセルクたちが人々を苦しめていました。アースムンドは一連の決闘でヒルディブランドの部下たちを打ち破ります。

この事態にヒルディブランドは激怒し、誤って自身の息子を殺害してしまいます。その後、ヒルディブランドはライン川でアースムンドと出会い、戦いを繰り広げます。激戦の末、ヒルディブランドは重傷を負い、剣も折れてしまいます。彼はアースムンドに、自身が異父兄弟であることを明かし、自分の遺体を彼の服で包んで埋葬してくれるよう頼みます。

デンマーク人の事績における類似の物語

『デンマーク人の事績』には、このサガとよく似た物語が収録されています。スウェーデンの戦士グンナルがノルウェーに侵攻し圧政を敷いた際、王女ドロータは彼に結婚を強要され、ヒルディゲルという息子を産みます。ヒルディゲルは父に追放された後、スウェーデン王アルヴェルに仕え戦に明け暮れます。

その後、スコーネの総督ボルカルがグンナルを殺し、ドロータと結婚してハルダンという息子をもうけます。ハルダンはデンマークの王女グリータに求婚しますが、身分が低いことと容姿を理由に拒絶されます。彼は戦功を立てて戻ってくるまで待ってほしいと頼みます。

スウェーデンとロシアの戦いで、ハルダンはロシア側として参戦し、ヒルディゲルと対峙します。ヒルディゲルはハルダンが異母兄弟であることを知り、復讐を諦めようとしますが、ハルダンはヒルディゲルの代わりに現れた戦士を全て打ち破り、二人は戦わざるを得なくなります。ハルダンは勝利し、ヒルディゲルは彼に異父兄弟であることを告白する歌を贈ります。

デンマークではハルダンが殺されたという噂が広まり、グリータはサクソニアの貴族と結婚させられそうになります。ハルダンは結婚式の日に現れ、グリータに歌を贈り、改めて求婚します。グリータはそれを受け入れ、ハルダンは貴族を殺害し、グリータと結婚します。二人の息子が、後のハラルド戦歯王となります。

登場人物の対応

脚注・参考文献・関連項目・外部リンク

（参考文献、外部リンクなどは原文を参照）

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