勝又進

勝又進（かつまた すすむ）は、1943年12月27日に宮城県桃生郡河北町（現在の石巻市）で生まれ、2007年12月3日に63歳で生涯を閉じた日本の漫画家、イラストレーターです。

生い立ちと学歴

勝又進は、幼少期に父親を亡くし、母親も1949年に病死。姉夫婦に育てられました。1962年3月には宮城県古川工業高等学校電気科を卒業。その後、東京の専門商社・日製産業株式会社で電子顕微鏡や理化学機器の営業マンとして3年間勤務しました。しかし、物理学への強い関心から1965年4月に東京教育大学物理学科に入学。会社員時代から抱いていた「本格的に物理や化学を学びたい」という思いを実現させました。大学在学中は、家庭教師や家具店の手伝いをしながら学費を稼ぎました。

漫画家としてのデビュー

大学在学中、勝又進は、大塚の古本屋で手にした『ガロ』1965年6月号で、白土三平が新人投稿を呼びかける文を目にし、手軽にできる4コマ漫画を『ガロ』に投稿し始めました。翌1966年6月には4コマ漫画が入選し、漫画家として『ガロ』でデビューを果たし、『勝又進作品集』を連載しました。その後も、『ガロ』を中心に数々の作品を発表し、独特な世界観と画風で注目を集めました。

1969年4月には東京教育大学大学院理学研究科修士課程に進み、原子核物理学を専攻しましたが、1971年に中退し、専業漫画家としての道を歩み始めました。学生時代に知り合った女性と結婚し、東京都内に新居を構えました。

多岐にわたる活動

勝又進は、漫画家としての活動だけでなく、教育者としても活躍しました。1974年4月から1976年3月まで鉄道高校の物理・化学講師を務めました。また、1991年4月から1994年3月まで通信制高校の単位取得をサポートする学校で、理科・数学講師および漫画クラブの顧問を務めるなど、教育にも情熱を注ぎました。さらに、多くの書籍の挿絵も担当しており、その才能は多岐に渡っていました。

健康問題と晩年

勝又進は、ヘビースモーカーでしたが、1982年1月に胃潰瘍で入院したことを機に禁煙しました。2005年3月には直腸に悪性腫瘍が見つかり手術を受け、その後、長男家族と同居するため東京都大田区に転居しました。2006年には『赤い雪』で日本漫画家協会賞大賞を受賞。しかし、2007年12月3日、悪性黒色腫により63歳で死去しました。

主な著書

勝又進の主な著書には、漫画作品として『わら草紙』、『タンタン風狸』、『桑いちご』、『ふらりんこん』、『木菟巷談』、『赤い雪』などがあります。また、絵本作品としては、『絵本遠野物語』や『ハンザキぞろぞろ』などがあります。その他、原発問題や憲法などをテーマにした書籍の執筆や、多くの書籍で挿絵を担当しました。

作品の特徴

勝又進の作品は、独特のユーモラスな画風と、社会問題や人間関係に対する深い洞察が特徴です。特に、原発問題や環境問題に関心が高く、それらをテーマにした作品も多く発表しています。また、子供向けの絵本や挿絵も手掛けており、その作風の幅広さも魅力です。

勝又進は、漫画家、イラストレーター、教育者として、様々な分野で才能を発揮し、多くの人々に影響を与えました。彼の作品は、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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