勝手サイト

勝手サイトとは

勝手サイトとは、かつての携帯電話IP接続サービスにおいて、携帯電話会社の公式メニューサイトに登録されていないウェブサイトのことを指します。非公式サイト、あるいは一般サイトと呼ばれることもありました。これらのサイトは、キャリアが提供する公式のポータルメニューには掲載されないため、独自のアクセス方法が用いられていました。

アクセス方法

勝手サイトへのアクセスを促すために、以下のような方法が一般的でした。

空メール送信: 特定のメールアドレスに空メールを送信すると、URLが記載されたメールが返信される仕組み。
QRコード: 雑誌や街頭広告にQRコードを掲載し、携帯電話で読み取らせることでアクセス。
検索サイト経由: 「～で検索」といった広告から検索サイトに誘導し、そこからアクセスさせる方法。

また、ウェブサイトや空メール用のアドレスは、パソコン向けのサイトと比較して比較的短く設定されていることが多かったようです。

提供されていたコンテンツ

勝手サイトでは、以下のような多種多様なコンテンツが提供されていました。

出会い系サイト: 公式サイトでは扱いにくい出会い系サイト。
成人向けコンテンツ: その他の成人向けサイト。
PC向けサイト変換サービス: PCサイトを携帯電話向けに変換するサービス。
電子掲示板: ユーザー同士が情報交換を行う電子掲示板。
ウェブログ: 個人ブログなどのコンテンツ。
* 各種広告・プロモーション: 商品販売促進や懸賞キャンペーンの応募サイト。

課金システムと技術

勝手サイトでは、空メールへの自動返信で会員固有のURLを発行したり、端末やSIMカードの識別番号で個人認証を行うことが可能でした。しかし、携帯電話会社が提供する課金システムは公式サイトでしか利用できないため、クレジットカード、アフィリエイト、電子マネーなどが主な課金手段として用いられていました。

パケット消費と回線への負担

勝手サイトは、特に動画や音声コンテンツを含むサイトでは、大量のパケットを消費することが多かったのが特徴です。当時の携帯電話回線では、数十から数百メガバイトのファイルをダウンロードすることは大きな負担でした。

勝手サイトの背景

iモードをはじめとする当時のガラケーの多くは、フルブラウザに対応しておらず、パソコン向けのインターネットにアクセスすることができませんでした。そのため、各携帯電話キャリアが提供する「公式サイト」を利用することが前提の閉鎖的な環境でした。しかし、Compact HTMLで記述されたり、ページあたりの容量を制限したりすることで、誰でもiモード対応のウェブサイトを公開することができました。これらのサイトは「公式サイト」に対し、「勝手サイト」と呼ばれ、iモードの普及に大きな役割を果たしました。

その後、EZweb、Yahoo!ケータイ、EMnetなどもCompact HTMLに対応したため、ウェブページの作り方によっては、全社対応のサイトを構築することも可能になりました。

プリケーと勝手サイト

ツーカーのプリペイド式携帯電話「プリケー」のコンテンツサービス「プリ de EZ」では、勝手サイトへのアクセスは不可能でした。

勝手サイトは、携帯電話向けウェブサイトの多様性を広げ、モバイルインターネットの発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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