勧学院

勧学院（かんがくいん）

勧学院は、平安時代の日本において藤原氏が設立した大学別曹であり、現在の京都市中京区に位置していました。創建は弘仁12年（821年）で、貞観14年（872年）以前に正式に大学別曹として認可されました。この学院は、有力な氏族の学生が利用するための寄宿舎として設計された場所です。

学院の意義と機能

本来、学生は大学寮内に住まなければなりませんが、勧学院が大学別曹に認定されることで、寄宿生たちは大学寮の学生と同等の権利を享受し、授業や試験に参加できるようになりました。また、勧学院の生徒は任官試験を経ずに地方官に任命される特権も付与されていました。この特権は「年挙」と呼ばれ、学院生にとって非常に価値のあるものでした。

さらに、優れた学業成績を修めた生徒は、将来的に朝廷での官職に就くことに優位でした。藤原氏に関する慶事がある際、学院の職員や学生たちは積極的に祝辞を述べ、祝宴に招かれるという慣習が存在していました。この行事は「勧学院歩」として知られ、学院の重要な文化的行事の一部を成していました。

組織と管理

勧学院の運営は藤氏長者に委ねられ、大納言級の公卿別当や弁官から任命された職員によって管理されていました。他の大学別曹に比べて、勧学院は財政的に非常に恵まれており、一族からの寄付によって支えられていました。また、寄宿舎機能に加え、藤原氏に関連する事務を扱う「氏院」も設けられ、氏寺の興福寺や氏神の春日大社といった祭祀に関連する業務を行う政所も存在しました。

延命院の設立

勧学院の一部として、延命院という病人収容施設が貞観元年（859年）に藤原良相によって設立されました。この施設は一族の病人を支援し、冷遇されていた一族からの支持を取り付けることに貢献しました。延命院は、学院内での重要な役割を担っていたのです。

衰退と影響

勧学院は、貴族社会の衰退と共に鎌倉時代には消失したとされています。しかし、興福寺などの有力寺院内に作られた僧侶育成機関が「勧学院」と名付けられたことからも、ふるさとの影響は大きかったと考えられています。そこで培われた学問や文化は、後の時代にも引き継がれていくこととなります。

勧学院の職員

勧学院には様々な職員が存在しました。氏長者、公卿別当、弁別当、六位別当など、多岐にわたる役職が設けられており、それぞれが学院の運営において重要な役割を果たしていました。寄宿生を代表する学頭や雑色、仕丁といった役職も存在し、学院の機能的側面を支えていました。

勧学院は、平安時代の藤原氏を通じて、学問の発展や文化の継承に寄与した重要な存在であったと言えるでしょう。

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