化学防護車

化学防護車（かがくぼうごしゃ）

化学防護車は、陸上自衛隊の化学科部隊が使用する6輪の装甲車両で、主に核兵器や化学兵器が使用された場合の対応に特化しています。この車両は82式指揮通信車を基にして設計されたもので、1987年に正式に導入されました。これまでに30両以上が配備されており、中央特殊武器防護隊や各師団の特殊武器防護隊において活躍しています。小松製作所が製造した本車両は、平成21年度の調達価格が約2億円となっています。

特徴

化学防護車は、密閉度が高められており、空気浄化装置を備えることで乗員を外部の汚染から守ります。車両内では、車外の放射線測定や毒ガスの検出が可能です。基本定員は4名ですが、通常は操縦士と2名の測定員で運用されることが多いとされています。測定機器には、GSM-4ガスサンプラーや地域用線量率計3形、携帯測定機器などが搭載されており、汚染地域の監視や分析が行われます。

また、車体後部にはマニピュレーターが装備されており、汚染土壌のサンプル採取が可能です。気象測定装置や警告用の黄色三角旗の投下機も搭載され、現場での情報収集に役立ちます。

だが、総重量は82式指揮通信車よりも重くなったため、最高速度は若干低下しています。自衛用の12.7mm重機関銃M2も装備されており、遠隔操作が可能なため、乗員を外気に晒すことなく使用できます。1999年には東海村JCO臨界事故の教訓を踏まえ、中性子防護板が開発され、必要に応じて車体前面に取り付けることが可能です。

さらに、1999年度以降に導入された機体は「化学防護車(B)」としての位置付けがなされ、風向センサが改良されるなど、機能が向上しました。これにより、化学防護車は緊急車両としても認められ、赤色灯やサイレンが装着されるようになりました。

出動実績

化学防護車の活動は、主に第101化学防護隊とその後継部隊において行われました。最初の出動は1995年の地下鉄サリン事件に関連してであり、その際に特定物質の分析などを行いました。以降、東海村JCO臨界事故や2011年の福島第一原子力発電所の事故など、さまざまな災害対応にも使用されています。

後継車両

化学防護車の後継として、化学防護機能と生物偵察機能を統合したNBC[[偵察車]]が2010年度から導入が進められています。この新たな車両は、より高いNBC（核・生物・化学）偵察能力を持つとされています。

登場作品

化学防護車は、さまざまなメディアで登場しています。映画『ULTRAMAN』や『ガメラ2 レギオン襲来』などでその姿を見ることができます。また、『感染列島』や『ゴジラシリーズ』においても、重要な役割を果たしているシーンが描かれています。アニメや小説でも見かけることが多く、特に自衛隊の車両としての特殊な役割が強調されています。

このように、化学防護車は、自衛隊における特殊な任務や、様々な災害に対応するための重要な資産として、社会の安全を支える一翼を担っています。

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