NBC偵察車

NBC偵察車の詳細

NBC偵察車（エヌビーシーていさつしゃ）は、陸上自衛隊が核・生物・化学（NBC）兵器に対処するために設計された装輪装甲車です。この車両は小松製作所によって製造されており、軽装甲機動車や中距離多目的誘導弾と同様に、正式な制式名称を持たずに部隊使用承認という形で採用されています。

車両の起源と開発

この車両は、化学防護車と生物偵察車の機能を統合した後継装備として位置づけられています。これは、化学科に配備され、NBC兵器による広域汚染地域の状況を確認するための偵察機能を担っています。偵察機材によって情報を収集し、迅速に状況を把握することを目指しています。この車両の開発は2005年度から始まり、2009年度に完了しました。2010年度より調達が開始され、1両の単価は約6.3億円です。

2013年4月の時点で、中央特殊武器防護隊に7両、第6特殊武器防護隊に2両が配備されています。

車両の特徴

NBC偵察車は、4軸8輪の大型装甲車両です。従来の化学防護車の全長6.1mおよび全高2.38mに対し、本車は全長が8m、全高が3.2mと、広い内部空間を確保しています。このスペースはNBC分析機器を搭載するためのものです。また、NBCフィルタによって車内が清浄化されており、中性子線などの放射線からも保護されています。前の2軸が操舵できる設計で、機動性も高められています。

自衛武装として、車体の中央上部には遠隔操作可能な12.7mm重機関銃M2が1基装備されています。この車両は、様々な地形においてNBC汚染下でも活動可能な防護装備と機動性を兼ね備えています。他国の軍用装甲車と比べ、日本の法律や道路環境に合わせ、車体幅を2.5m以下に抑える必要があります。

さらに、化学防護車と生物偵察車の統合によって、整備コストやライフサイクルコストが抑制されることが期待されています。以前の化学防護車で使われていた大型のマニピュレーターは扱いづらさから不評だったため、その装備は省かれ、代わりに安全に検体を採取できるグローブボックス機能を持つモジュールが搭載されました。

調達と配備

最終的に約50両が陸上自衛隊に調達される予定です。配備先としては、陸上自衛隊化学学校や武器学校、東北方面隊の第6師団などが含まれています。

映像作品への登場

この車両は、いくつかのメディア作品にも登場しています。映画『シン・ゴジラ』において、立川広域防災基地に配置されるシーンがあります。また、アニメ『ガールズ＆パンツァー』の第6話では、戦車教導隊所属車両として登場し、隊員を大会会場に輸送する役割があります。さらに、『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』の第61話では異世界を攻撃する場面に登場しています。このように、NBC偵察車は実使用の他にも多方面で認知されています。

結論

NBC偵察車は、陸上自衛隊のNBC兵器に対する先進的な対応能力を強化するために設計された重要な装備です。その特性や機能の統合により、今後の運用や整備の効率化が期待されています。

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