北上盆地

北上盆地

北上盆地は、岩手県の西部、北上川流域に位置する盆地です。南北約90キロメートル、東西幅10～20キロメートルと細長く、盛岡市から奥州市にかけて広がっています。西側には奥羽山脈、東側には北上高地がそびえ、標高は100～200メートル程度です。

地形

北上盆地の地形は、隆起を続ける奥羽山脈と安定した北上高地によって形成されています。盆地の西側、奥羽山脈との境界には活断層が走り、西が高く東が低い傾斜になっています。そのため、北上川は盆地の東側を北から南へと流れています。

奥羽山脈から流れ出る雫石川、和賀川、胆沢川などは、盆地の西側に扇状地を形成し、北上川に合流します。これらの扇状地が連なり、盆地の西側を特徴づけています。一方、東側には扇状地は少ないものの、稗貫川や猿ヶ石川が北上高地から流れ込み、北上川に合流しています。

人口分布

岩手県全体の人口約120万人のうち、約90万人が北上盆地に集中しています。この地域は、大きく分けて盛岡都市圏、北上都市圏、水沢都市圏、一関都市圏の4つの都市圏で構成されています。

県による地域圏としては、盛岡都市圏に対応する盛岡広域振興圏と、中南部の3都市圏を合わせた県南広域振興圏に二分され、それぞれ40～50万人程度の人口を擁します。かつて旧盛岡藩と旧仙台藩の境界は、現在の北上都市圏と水沢都市圏の間にありました。

盛岡都市圏は、北東北で最も人口が多く、経済の中心地です。東北新幹線と秋田新幹線が分岐する交通の要衝でもあります。北上都市圏は、東北自動車道と秋田自動車道が交わり、花巻空港を擁する交通・流通の拠点であり、内陸工業が集積しています。水沢都市圏は、米の単作地帯ですが、前沢牛などの高級和牛の産地としても知られています。

周辺地域との交通

北上盆地は、古くから交通の要衝として発展してきました。江戸時代には奥州道中、明治時代以降は東北本線、国道4号、東北自動車道、東北新幹線が盆地を南北に縦断し、主要な幹線として機能しています。

また、北上盆地と横手盆地を結ぶ「平和街道」は、奥州藤原氏が両地域を治める上で重要な役割を果たしました。現在では、国道107号、北上線、秋田自動車道が通り、秋田新幹線とともに、両地域の文化交流や経済連携を支えています。

海に面していない北上盆地では、外港の役割が時代によって変化してきました。江戸時代には、八戸や宮古、石巻などが外港として機能し、現在では、仙台港、八戸港、秋田港などが利用されています。高速道路の結節点である盛岡都市圏や北上都市圏は、工業・流通拠点としての地位を確立しています。

北上盆地は、豊かな自然と歴史、そして交通の便に恵まれた地域として、今後も発展を続けるでしょう。

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