北伐 (諸葛亮)

蜀の北伐について

蜀の北伐とは、中国の三国時代において、蜀の軍師・諸葛亮が魏に対して実施した一連の軍事行動を指します。これは、初代皇帝・劉備の漢王朝復興の志を受け継ぐものでしたが、当時の蜀の国力や軍事力を考慮すると、非常に困難な挑戦でした。

北伐の背景

当初、蜀は荊州と益州の両方面から北へ進撃する計画を立てていました。しかし、荊州は魏と呉に奪われていたため、実際には益州からのみ北伐を行わざるを得ませんでした。この制約が、北伐の苦難を一層深めることとなったのです。

五度の北伐

北伐は、計五度にわたり実施され、以下のような経緯を辿りました。

第一次北伐（228年春）

最初の北伐は期待を持って始まりましたが、街亭の戦いで諸葛亮の指示に背いた馬謖が張郃に敗北したため、蜀軍は撤退を余儀なくされました。この戦闘の結果、馬謖は処刑され、向朗は免職、さらに諸葛亮自身や趙雲も降格される厳しい結果となりました。

第二次北伐（228年冬）

次に実施された二度目の北伐では、郝昭による防御に直面して攻撃が難航。食糧不足が深刻化したため、撤退せざるを得ませんでしたが、撤退途中に追撃してきた王双を討つことに成功しました。

第三次北伐（229年春）

三度目の北伐では、陳式が武都・陰平を攻め、蜀軍はこれらの地域を平定しました。この功績が評価され、諸葛亮は丞相として復帰しました。

第四次北伐（231年春）

四度目の北伐では祁山を包囲し、援軍として駆けつけた敵軍を撃退しましたが、最終的に食糧不足から撤退を選択することに。退却する際も敵を討つなどの戦果がありました。

第五次北伐（234年春）

最後の北伐は屯田を行い、長期戦での消耗耐性を狙ったもので、諸葛亮はその最中に病に倒れ、蜀軍は敗北の色を見せます。彼の死によって、北伐は一時中断され、国力の回復が目指されることとなりました。

諸葛亮の後

諸葛亮の死後、彼の後継者である蔣琬が同様の北伐を計画しましたが、病により実現は叶いませんでした。その後、北伐に反対する費禕を経て、姜維が軍の指揮権を握るに至ります。姜維は自らの下で北伐を再開し、蜀は再び魏に挑戦を続けることになります。

国力の消耗

しかし、北伐は度重なる戦闘によって蜀の国力を徐々に疲弊させることになりました。国力の低下は蜀の運命に暗い影を落とし、最終的には蜀の衰退につながることとなります。

結論

蜀の北伐は、諸葛亮の卓越した指導力と軍事戦略、日本からも評価される歴史的な事件でしたが、国力の限界に直面した戦いでもありました。これらの事件は、蜀の運命を決定づける重要な出来事とされています。

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