北入江信号場

北入江信号場

北海道虻田郡洞爺湖町入江に所在する、北海道旅客鉄道（JR北海道）室蘭本線の信号場である。

概要

当信号場は、室蘭本線の単線区間において、列車同士の行き違いや追い越しを可能にするために設けられた重要な施設である。地域の鉄道輸送における円滑な運行を支える一角を担っている。

歴史

北入江信号場は、その経歴において極めて複雑な変遷をたどっている。最初にこの地に信号場が設置されたのは、太平洋戦争末期の1945年8月1日、当時の国有鉄道の施設としてであった。この初回開設時には、信号場としての機能に加え、旅客の乗降も取り扱っていた記録がある。

しかし、わずか3年後の1948年7月1日には、信号場としては一旦廃止される。その一方で、旅客扱いのみは「北入江仮乗降場」として継続された。これは、鉄道管理局が独自に設けた、正式な駅ではない簡素な乗降施設であった。

長い空白期間を経て、1964年8月30日には再び信号場として復活する。この二度目の開設に際して、信号場は旧位置から有珠駅方面へ約600メートル移設された。この時、事務管理コードも付与されている。1982年の時点では、既に常駐職員がいない無人信号場となっていたことが確認されている。

再び信号場としての役目を終えたのは、1986年11月1日の国鉄分割民営化を目前にした時期であった。二度目の廃止を迎えたのである。

しかし、再びこの地に信号場が必要とされる状況が生まれた。そして、1994年3月16日、JR北海道によって三度目の開設が実現した。これにより、北入江信号場は再び室蘭本線の運行上欠かせない施設となった。

近年の出来事としては、2017年2月23日に構内で貨物列車の脱線事故が発生している。この事故は、首都圏から札幌方面へ向かう長編成のコンテナ貨物列車で発生したものであり、後に機関車の整備不良が原因とされた。

構造

当信号場は、単線区間における列車交換を行うため、2本の線路を設けている。これらの線路は、海側から順に1番線、2番線と称されており、特徴的なのは「一線スルー」と呼ばれる構造を採用している点である。

2番線が上下両方向の主要な通過線路（本線）として機能するように設計されており、1番線は主に列車交換や待避が必要な列車が使用する補助的な線路（副本線）となっている。この構造により、基本的に列車交換や追い抜きが発生しない通過列車は、速度を維持したまま2番線を経由することが可能であり、上下線問わず山側の線路を利用することでスムーズな運行が図られている。

名称の由来

「北入江」という信号場名は、その設置されている場所の地名である「入江」地区に由来している。地域名に方角を示す「北」を冠することで、所在地の地理的な関係性を示しているシンプルな命名法である。

周辺環境

信号場の近傍には、幹線道路である国道37号線が通じている。また、周辺には「道の駅あぷた」や「歴史公園」といった地域施設も点在しており、この地が単なる鉄道施設だけでなく、地域の生活環境と結びついた場所であることが伺える。

隣接駅

北海道旅客鉄道（JR北海道）室蘭本線における当信号場の前後の駅は以下の通りである。

* 洞爺駅 (H41) - 北入江信号場 - 有珠駅 (H40)

なお、駅番号は室蘭方面に向かって減少する付番規則となっている。

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