北原白秋生家(きたはらはくしゅうせいか)は、福岡県
柳川市に位置する
詩人北原白秋の生家跡です。この地は白秋が
1885年に誕生したところで、現在では福岡県指定の史跡として保護されています。生家には、白秋が幼少期を過ごした母屋や穀倉が現存しており、これらの建物は
文学館としても利用されています。
歴史的背景
白秋生家は、造り酒屋の伝統を色濃く残した
なまこ壁の母屋と穀倉から成っています。これらの建物は
幕末から
明治初期にかけて建築されたと考えられており、
1901年の沖端大火によって一部破損しましたが、耐火性の土蔵造りであったため、幸いにも残ることができました。この火災によって他の建物は全て焼失してしまったため、現在残されている建物は貴重な遺産と言えるでしょう。
1969年10月には、県の史跡に指定されたことを受けて修復と部分的な復元が行われ、同年11月から一般公開が始まりました。館内には、白秋の愛用品や著作物が展示されており、また彼の幼少期の落書きも残されています。さらに、仏間には白秋のデスマスクが保存されています。
記念館の設立
1985年は、
北原白秋の生誕100年にあたる特別な年でした。この年、
柳川市は生家の裏庭を利用して
北原白秋記念館(
柳川市歴史民俗資料館)を開館しました。
1990年には、母屋の下屋にあたる書斎が復元され、その後も多くの訪問者がこの場所を訪れるようになりました。
来館者数の変遷
北原白秋生家と記念館には、2019年9月末までに累計で約599万人以上の来館者があり、柳川を代表する観光地として知られています。
1985年度に白秋記念館が開設されて以来、来館者数は増加傾向にあり、1993年度までは毎年約20万人を超える訪問者を記録していました。しかし、
1990年代後半になると徐々に減少し、2004年度には10万人を下回りました。
2019年度の来館者数は約4万1600人でしたが、2020年度には
新型コロナウイルスの影響で来館者数が激減し、その年の上半期には約2900人という状況にまで至りました。そのため、存続をかけて寄付を募るなどの取り組みが行われています。
施設の利用案内
生家と
北原白秋記念館の所在地は、福岡県
柳川市大字沖端町55-1です。開館時間は午前9時から午後5時までで、年末年始(12月29日から1月3日)を休館日としています。交通アクセスは、
西鉄天神大牟田線柳川駅から
西鉄バス「早津江」行きに乗車し、「水天宮入口」バス停で下車し、そこから徒歩約5分というルートが一般的です。
また、自家用車の場合は
九州自動車道のみやま柳川インターチェンジから約11kmの距離です。周辺には立花氏庭園(御花・松濤園)や旧戸島家住宅などの国の名勝も存在し、観光の一環として訪れることができます。
まとめ
北原白秋生家は、
文学を愛する人々にとって過去と現在をつなぐ重要な場です。
詩人の足跡を辿りながら、彼の作品や人生に触れることができる貴重なスポットと言えるでしょう。美しい建築とともに、詩の世界へと誘ってくれる生家を訪れてみることをお勧めします。