北原雅長

北原雅長は、天保14年（1844年）に会津藩家老の次男として生まれました。幼名は半助、号を清華、歌仏庵と称しました。会津藩主・松平容保が京都守護職に任じられると、北原もこれに従い京都へ上ります。藩主の側近として機密事項を扱い、禁門の変にも参加しました。戊辰戦争では、母成峠の戦いで参謀を務めた後、会津城に籠城し徹底抗戦しました。

明治維新後、一時謹慎生活を送りますが、後に赦免され工部省に入省します。秋田県や長崎県で役人を歴任した後、長崎県令の日下義雄に見出され、長崎市長選挙に立候補します。当時、長崎では水道建設を巡り賛否両論が激しく対立していました。北原は反対派の支持を受け、賛成派の金井俊行を破り、1889年（明治22年）に初代長崎市長に就任しました。

市長就任後は、それまでの対立を解消し、金井や日下らが進めてきた水道事業を継承し完成させました。これにより、長崎の都市機能は大きく向上しました。1895年（明治28年）に市長を退任した後、東京市下谷区長を経て、引退後は静岡県浜松で和歌を楽しみました。1913年（大正2年）、71歳でその生涯を閉じます。辞世の歌は「人の世を離れてすめる月影に　さそわれて行く西の山の端」と伝えられています。墓所は浜松市の高松山西来院です。

北原は、会津藩主・松平容保が朝廷から厚い信頼を得ていた証である勅書（孝明天皇から賜った御宸翰）の存在を明らかにした著書『七年史』を1904年（明治37年）に発表しました。しかし、この著書の内容が不敬罪に問われ、拘留されるという事態にも遭遇しました。北原は、激動の時代を生き抜いた人物として、その名を歴史に刻んでいます。

北原雅長の主な業績は以下の通りです。

戊辰戦争で会津藩の参謀として活躍
初代長崎市長として、上水道を完成させた
長崎の近代化に貢献した
著書『七年史』で、会津藩と朝廷の関係を明らかにした

北原雅長は、激動の幕末から明治時代を生きた人物であり、その生涯は、会津藩士としての武士道精神と、長崎市長としての近代化への貢献という二つの側面を持っています。その功績は、現代においても高く評価されています。

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