金井俊行

金井俊行（かない としゆき）

金井俊行は、1850年（嘉永3年）に長崎で生まれた人物です。長崎区長、長崎市会議長、南高来郡長、韓国釜山居留民団長などを歴任し、長崎の発展に貢献しました。また、郷土史家としても知られ、多くの著書を残しました。

生い立ちと初期の活動

金井俊行は、長崎代官手代の家系に生まれました。幼少期から学問に励み、儒学者である長川鉄壁の門下で漢籍を修めました。16歳で長崎代官役所書役となり、その後、長崎県少書記官、佐賀県大書記官を歴任し、行政官としての経験を積みました。

長崎区長としての功績

1886年（明治19年）から1889年（明治22年）にかけて、長崎区長を務めました。長崎区長は長崎市長の前身にあたります。この間、上水道敷設、下水道改良、夜学校創設など、都市のインフラ整備や教育に尽力しました。

特に、夜学校の設立は、貧困家庭の子弟に教育機会を提供するために、区会の反対を押し切って自ら費用を捻出して設立したという逸話があります。また、上水道の敷設は、コレラの大流行をきっかけに、衛生環境の改善を目指して行われました。

長崎市制施行後の活躍

長崎区長退任後は、長崎市会議長、南高来郡長、韓国釜山居留民団長などを歴任しました。1890年（明治23年）には、市会議長に選出されましたが、間もなく南高来郡長に就任したため、短期間で辞任しました。その後、南高来郡長を辞職し、韓国釜山居留民総代として釜山に渡りました。

郷土史家としての活動

金井俊行は、郷土史家としても知られ、長崎の歴史に関する古文書収集に努めました。収集した資料は、長崎区役所（長崎市役所の前身）に収められました。また、自らも多くの著書を執筆し、長崎の歴史を後世に伝えました。

代表的な著書には、「長崎年表」、「長崎略史」、「長崎市条例及規則私案」、「寛政四年島原地変記」、「長崎水道一斑」、「原城耶蘇乱記」、「温泉案内記」などがあります。特に、「長崎年表」は、長崎の歴史を研究する上で重要な資料とされています。

死去とその後

1896年（明治29年）に病により職を辞し、長崎で療養生活を送りましたが、1897年（明治30年）に47歳で亡くなりました。

金井俊行は、長崎の発展に大きく貢献した人物として、現在でもその功績が語り継がれています。彼の功績は、行政官としての手腕や、郷土史家としての情熱にとどまらず、教育者としての先見性にも及ぶものでした。

年表

1850年（嘉永3年）3月1日 - 長崎西山に誕生。
1865年（慶応元年）- 16歳で長崎代官所書役となる。
1878年（明治11年）5月 - 長崎県少書記官に昇進。
1883年（明治16年）- 佐賀県大書記官に就任。
1886年（明治19年）8月12日 - 第4代長崎区長に任命される。
1887年（明治20年）11月 - 磨屋町の鶴鳴小学校に夜学校を開設。
1889年（明治22年）3月31日 - 長崎区長を退任。
1890年（明治23年）1月6日 - 長崎市会議長に選出。
1891年（明治24年）3月 - 本河内高部水道工事が完成。
1894年（明治27年）- 南高来郡長を離職。韓国釜山居留民総代として釜山に渡る。
1896年（明治29年）1月 - 病により離職し帰国。
1897年（明治30年）8月27日 - 逝去（享年47）。

栄典

1883年（明治16年）7月16日 - 従六位
1894年（明治27年）7月20日 - 正六位

主な著書

「長崎年表」（全3巻）
「長崎略史」（全35巻）
「長崎市条例及規則私案」
「寛政四年島原地変記」
「長崎水道一斑」
「原城耶蘇乱記」
* 「温泉案内記」

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