北地郡

北地郡（ほくちぐん）

北地郡は、中国にかつて存在した郡であり、秦代から唐代にかけて、現在の甘粛省東部、寧夏回族自治区、および陝西省北西部にまたがる地域に設置されました。その歴史は、中国の政治・社会状況の変遷を色濃く反映しています。

歴史

秦代

北地郡の始まりは、秦が義渠を滅ぼしたことに遡ります。このとき、新たな統治機構として北地郡が設置されました。

前漢

前漢の時代、北地郡は広大な領域を管轄し、19もの県を擁していました。その内訳は、馬領、直路、霊武、富平、霊州、朐衍、方渠、除道、五街、鶉觚、帰徳、回獲、略畔道、泥陽、郁郅、義渠道、弋居、大要、廉といった県が含まれていました。これらの県は、地域の経済や文化の中心地として機能していました。

後漢

後漢になると、北地郡は涼州に属し、管轄する県は6県に減少しました。富平、泥陽、弋居、廉、参䜌、霊州がその内訳です。この変化は、後漢の地方統治政策の変更や、地域の社会経済状況の変化を反映していると考えられます。

晋

晋の時代には、北地郡は雍州に属し、富平と泥陽の2県のみを管轄する小規模な郡となりました。この縮小は、戦乱や社会不安の影響による人口減少や経済力の低下が原因と考えられます。

北魏

北魏の時代、北地郡は再び拡大し、雍州に属して7県を管轄するようになりました。富平、泥陽、弋居に加え、雲陽、銅官、土門、宜君といった県が新たに加わりました。これは、北魏による地方統治の強化や、地域の再開発政策の結果であると考えられます。

隋

隋代の北地郡は、北魏のそれとは異なる経緯を辿っています。西魏が設置した寧州に端を発し、寧州は趙興郡と西北地郡を管轄していました。その後、606年（大業2年）に寧州は豳州に改称され、さらに607年（大業3年）に州が廃止されて郡が置かれると、豳州は北地郡と改称されました。この北地郡は、定安、羅川、彭原、襄楽、新平、三水の6県を管轄していました。

唐

唐代に入ると、618年（武徳元年）に郡制が廃止され、北地郡は再び寧州に改められました。これにより、北地郡の名称は歴史から姿を消すこととなりました。

北地郡の歴史は、中国の歴代王朝の興亡と深く結びついており、各時代の政治、経済、社会の変化を反映するものでした。その変遷を辿ることは、中国史を理解する上で重要な意味を持ちます。

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