北山 (京都市)

北山とは

北山は、京都市北区の北西に位置する丹波高地に連なる山間部を指す名称です。平安京から見て北の方角にあることに由来します。山域は北区に隣接する右京区にも広がりますが、室町時代に足利義満が北山南東端に北山山荘（鹿苑寺金閣）を造営し、北山文化の中心地となったことから、現在の行政区分でも主に北区の範囲を北山と呼びます。

金閣寺の裏手に位置する大文字山は、五山送り火の一つ「左大文字」が灯される山として知られ、市街地に接しています。天神川沿いの京都府道31号線（鷹峯街道）を北上すると、釈迦谷山一帯の大宮地区から山中へと分け入ります。府道31号線で京見峠を越えると城山一帯の西賀茂地区、杉阪地区、中川地区と続きます。杉阪では京都府道107号線と分岐し、中川では国道162号線（周山街道）に合流して清滝川の中流域に至ります。国道162号線の先は小野地区で、国道は右京区に移りますが、清滝川を遡ると源流域の大森地区となり、桟敷ヶ岳などを挟んで右京区京北町と接します。一方、府道107号線の先は持越峠を挟んで真弓・雲ケ畑地区で、京北町や左京区鞍馬に接します。

また、鴨川沿いの京都府道61号線（加茂街道）を北上した右岸一帯の西賀茂・北賀茂地区も北山に属しますが、鴨川左岸の上賀茂（柊野など）は北山に含まれません。これらの範囲が北山に相当し、中川・雲ケ畑・小野の三地区は「北山三村」と称されます。雲ケ畑や大森には惟喬親王の隠棲伝説が残っています。

左京区との境界に位置する京都府道61号線の大岩から東海自然歩道が延伸されており、賀茂川沿いに下り、北山麓縁辺部を進み、尺八池や光悦寺を経て一ノ坂へと分け入ります。その後、右京区との境界となる菩提谷、菩提滝、池ノ谷を抜け、右京区に至ります。

北山杉の里

北山は、中川地区を中心に北山杉の産地として知られています。中川は、1219年の『神護寺文書』に「中河庄」、1569年の『中川八幡宮文書』には「中河楽所」として登場し、中世を通しては「中河荘」と呼ばれていました。これらの記録には、すでに北山杉の産地として記載されています。木材の供給源としては、平安京造営時に始まったという説もあります。

南北朝時代頃には、材の表面を川砂で研磨する「磨丸太」が考案され、桂離宮、修学院離宮、大徳寺などに用いられることで広く知られるようになりました。江戸時代には、『元禄村別領主帳』によると神護寺、『享保村名帳』では西明寺の寺領となっていました。明治時代の廃仏毀釈により、山が払い下げられ、個人の山主が現れ、森林組合も結成されました。1902年と1937年には周山街道が拡幅され、モータリゼーションの発達に伴い、それまでの川筏による出荷を上回るようになりました。また、材木以外の木っ端材は薪や炭として、葉は防虫・防腐効果があるとして重宝されてきました。

中川地区は、川端康成の小説『古都』の舞台の一つとしても知られ、『古都』を原作とするドラマや映画などの映像作品のロケ地にもなっています。

その他の情報

北山通や地下鉄烏丸線の北山駅は、北山の山裾、京都盆地縁辺の平野部に位置し、山域内にはありません。

関連する地域として、原谷（大北山に属する地区）、氷室（西賀茂に属する地区）などがあります。

北山は、京都丹波高原国定公園の一部であり、自然豊かな景観が保たれています。

もう一度検索