北山茂夫

北山茂夫:日本の歴史学者



北山茂夫(きたやま しげお、1909年3月3日 - 1984年1月30日)は、日本の日本史学者であり、特に古代史を専門としました。彼は立命館大学の教授を務め、その学問と著作によって日本の歴史研究に多大な影響を及ぼしました。

生い立ちと学歴



和歌山県有田郡、現在の有田川町に生まれた北山は、和歌山県立耐久中学校から進学し、その後第三高等学校で学びました。1934年には東京帝国大学文学部国史学科を卒業。その後は西洋史の講義を受ける中で近代史に強い関心を抱き、大学院に進学しました。しかし、彼の業績は古代史に特に秀でたものでした。

教職歴



卒業後は横浜の潤光学園で講師を努め、その後郷里に戻り和歌山県立田辺中学校の教諭となりました。しかし、戦後の排斥運動に遭遇し、一時的に教職を離れざるを得ませんでした。その後、立命館大学法学部の専任講師となり、後に文学部教授へと昇進しましたが、学生運動により辞職することになりました。

研究活動



北山は、強い左翼的な立場を持ちつつも、文学的関心が深く、特に人物に焦点を当てることを重視しました。日本史の分野、特に奈良時代に関する著作を多数残し、多くの一般読者に向けた作品を発表しました。その中でも代表的な著書には『奈良朝の政治と民衆』や『万葉の世紀』などがあります。さらに、白川静の著作『漢字』は彼の推薦によって執筆されました。彼と同じ左翼の立場にいる石母田正との間では、英雄時代や律令国家に関する評価について意見が対立することもありました。

影響と後進



北山に学んだ者たちは、その後各自が日本の歴史学において重要な足跡を残しました。日本近現代史研究の松尾尊兊、日本古代史研究の山尾幸久、アジア印章史研究の久米雅雄等、彼の教え子たちは様々な研究を進めています。

主な著作



北山の著作は多岐にわたり、以下にいくつかの重要な著作を挙げます。

  • - 『奈良朝の政治と民衆』(1948年)
  • - 『万葉の世紀』(1953年)
  • - 『日本古代政治史の研究』(1959年)
  • - 『女帝と道鏡 天平末葉の政治と文化』(1969年)
  • - 『万葉集とその世紀』全3巻(1984-1985年)

彼の著書は、学術的な内容を一般読者向けにわかりやすく書かれており、多くの人々に歴史を理解する手助けをしたと言えるでしょう。また、彼の研究は時代を超えて現在にも影響を与え続けています。

遺産と評価



彼の業績は、1986年に発行された追悼論文集『歴史における政治と民衆 北山茂夫追悼日本史学論集』により評価されています。彼の名は日本の歴史学界において決して消えることはなく、今もって多くの学者たちに影響を与え続けています。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。