山尾幸久

山尾幸久の生涯と業績

生い立ちと経歴

山尾幸久（やまお ゆきひさ）は、1935年12月10日に旧満洲撫順に生まれました。彼の成長期は、満洲での中国人との関わりや引き揚げ体験が大きな影響を与えたといいます。1962年に立命館大学の二部文学部に入学し、中国文学を学ぶ中で、著名な教授の白川静との出会いを通じて学問に目覚めました。

その後、北山茂夫との出会いを契機に、日本古代史へと関心が移り、昼間の文学部日本史学専攻に転籍しました。彼の卒業論文は「魏志倭人伝の史料批判」であり、1967年に『立命館文学』に掲載されました。その後、大学院に進み、1969年には立命館大学の助手として教壇に立ちました。

彼は立命館大学に27年間勤務し、特に講義準備に尽力しましたが、1996年には教育産業化に対する不満から定年の5年前に退職しました。退職後は、滋賀県大津市の自宅で静かな晩年を過ごし、2019年に妻を亡くしてからは体調を崩し、2021年11月4日に誤嚥性肺炎で亡くなりました。

学問と研究

山尾の研究テーマは、卑弥呼の時代の王権の誕生、律令制形成期の天皇の出現、日本民族の形成、さらには東アジアの国家権力の動態に関するものでした。彼は著書『日本古代国家と土地所有』（2003年）において、石母田正の古代国家論を厳しく批判し、独自の視点を体系化しました。また、『古代最大の内戦 磐井の乱』（1985年）では、磐井の乱を近畿と九州の国家間の戦争として論じ、従来の見解とは異なる視点を提示しました。

彼の主な著書には、以下のようなものがあります：

• - 『魏志倭人伝』（1972年）
• - 『日本国家の形成』（1982年）
• - 『日本古代王権形成史論』（1983年）
• - 『日本古代の国家形成』（1986年）
• - 『古代の日朝関係』（1989年）

これらの作品を通じて、山尾は日本古代史における政治的および社会的な変遷を深く考察し、研究者だけでなく一般にとっても理解しやすい形で歴史的な洞察を提供しました。彼の業績は、古代日本を理解する上で欠かせないものであり、今なお多くの研究者に影響を与えています。

まとめ

山尾幸久は、日本古代史の重要な研究者として、立命館大学名誉教授としての名声を確立しました。彼の著作や学説は、古代日本の理解を深める上での重要な礎となり、今後の研究にも多くの示唆を与え続けることでしょう。

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