道鏡

道鏡の生涯と影響

道鏡（どうきょう、700年? - 772年以前）は、奈良時代に活躍した僧侶であり、政治的影響力を持つ人物でした。彼は俗に弓削道鏡（ゆげ の どうきょう）と呼ばれ、平将門や足利尊氏と共に日本三悪人の一人として名を知られています。

出自と背景

道鏡の出自は弓削氏で、彼の一族は弓の製作を担った弓削部を統率する部族でした。彼の祖先は物部氏の一族とされており、一説には物部守屋が母姓を仮冒して弓削大連と称したことが道鏡の家系の起源と考えられています。また、道鏡と志貴皇子の関連性についても異説が存在します。

若き日と僧侶としての教え

文武天皇4年（700年）に大阪府八尾市で生まれた道鏡は、若いころ法相宗の高僧・義淵に仕え、宗教的知識を深めました。良弁から梵語を学ぶなど仏教の教えに従事し、あわせて禅にも通じていました。これらの経験が評価され、内道場に入ることを許され、禅師としての地位を得ました。

朝廷での台頭

彼は天平宝字5年（761年）に病に倒れた孝謙上皇の看病をしたことから、その信任を得て多くの贅沢な権力を持つようになります。善仁天皇が対立していたため、道鏡の影響力はさらに強まりました。天平宝字7年（763年）には少僧都に任ぜられ、翌年には藤原仲麻呂の乱後に太政大臣禅師に任命され、さらに法王の地位に昇格します。
このように、道鏡は政策の面でも仏教の理念に従った改革を進め、一族や弟の弓削浄人など周囲の者たちも高い地位に上り詰めました。

宇佐神託とその後の運命

道鏡の人生に影響を与えた出来事として、宇佐神宮での神託があります。中臣習宜阿曾麻呂が「道鏡を天皇に」との神託を伝えましたが、これは後に虚偽とされ、皇位を得ることなく終わります。称徳天皇が崩御した後も、道鏡は彼の御陵を護るために奮闘しますが、最終的に下野国に左遷され、その地で没します。

道鏡の死は772年4月に確認され、彼は長年の功績にもかかわらず、親族は流罪となるなど厳しい運命を辿りました。

歴史的評価と風説

道鏡に関する風説として、彼が孝謙天皇にのちに貴賤の交わりを持っていたとか、巨根の伝説など多様な俗説があります。信憑性のない伝承が多く、また江戸時代には川柳が詠まれるなどして彼のイメージは形作られました。

道鏡の生誕地、大阪府八尾市では1980年に「道鏡を知る会」が立ち上げられ、彼の功績を見直す活動が行われましたが、2022年には解散を余儀なくされました。

所縁の寺院と文化的影響

道鏡は由義寺の建設にも関与しており、彼にまつわる寺院や遺跡が現在も存在します。加えて、様々な文学作品やドラマ、映画で彼が描かれ、今なお人々の記憶に残る存在です。
道鏡の影響は、宗教的な事柄だけでなく、政治や文化にわたる広範なものといえます。

もう一度検索