北方七年戦争

北方七年戦争

北方七年戦争（ほっぽうしちねんせんそう）とは、1563年から1570年にかけてデンマークとスウェーデンの間で行われた戦争です。この戦争はスカンディナヴィアを中心に展開され、同時期のリヴォニア戦争とも関連がありました。戦後、スウェーデンはデンマークからの干渉を排除し、リヴォニア地域での影響力を強化する契機となりました。

背景

この戦争の背景には、1523年にスウェーデンが独立し、カルマル同盟が崩壊した後のデンマークの危惧があります。デンマークは、スウェーデンが強大化することを脅威と感じ、再びスウェーデンを征服しようと考えていました。1558年には、バルト地域でリヴォニア戦争が始まり、スウェーデンもこれに参戦しました。

開戦

1563年、デンマーク王フレゼリク2世はスウェーデンに宣戦布告しました。スウェーデンはフィンランドを通じてバルト地域への影響力を及ぼそうとしていましたが、デンマークは当時領土であったエストニアに侵攻します。フレゼリク2世はエストランドへの兵力展開も行いましたが、スカンディナヴィア半島が主要な戦場となります。デンマークはスコーネやノルウェーから攻撃を開始し、バルト海沿岸の領土争いも先鋭化していました。

1562年には、スウェーデン王エリク14世がナルヴァを獲得しようとフィンランド湾を封鎖したことが、デンマークとの紛争を招き、フレゼリク2世は強気の行動に出ました。デンマークにとって、この状況は有利であったものの、1563年のボーンホルム海峡での海戦ではデンマークは敗北を喫し、その後戦況は膠着状態に陥りました。

デンマークは国力に余裕がありましたが、一方のスウェーデンはエリク14世から王位を奪ったヨハン3世の指導のもとで必死に戦い続けました。特にスコーネでは数々の戦闘が繰り広げられ、戦況は陸ではデンマーク、海ではスウェーデンが優位に立つ形で、双方の国内情勢は悪化していきました。フレゼリク2世は貴族や市民から孤立し、スウェーデン側でもエリク14世の支配による貴族弾圧から、貴族の反乱が発生し、1568年に国王が廃位される事態に至りました。

戦争の終結

双方が強硬姿勢を崩さなかった結果、戦争は曖昧な形で休戦に至ります。国境線には変更がありませんでしたが、デンマークはエストランドの再占領を失敗に終わりました。スウェーデンは戦争終結時にはエストニアを含む領土を保持し、デンマークがサーレマー島やクールラントの司教区を保持していましたが、間もなくポーランド・リトアニア共和国に譲渡することになります。

1570年、両国はシュテッティンで和平を結びました。スウェーデンはデンマークに対して、占領地の返還賠償金を支払う代わりにデンマークの王位請求権を放棄させました。この戦争の終結後、スウェーデンはリヴォニア戦争に復帰しましたが、北方七年戦争は両国の国力に重大な影響を与え、長期的には相互の関係を悪化させる要因となりました。

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