北方停留場

北方停留場（きたがたていりゅうじょう）

北方停留場は、かつて福岡県北九州市小倉南区北方に位置していた、西日本鉄道（西鉄）北方線の停留場（廃駅）です。地域の交通を支え、特に近隣の軍事関連施設の利用者に重宝されましたが、1980年に路線の廃止と共にその歴史に幕を閉じました。

概要

この停留場は、1907年（明治40年）2月23日、小倉軌道によって城野と北方を結ぶ路線が開通した際に開設されました。周辺には歩兵第14連隊などの陸軍部隊や関連施設が集中しており、多くの軍関係者が利用する重要な停留場でした。その後、路線の運営会社は変遷を重ね、最終的には西日本鉄道北方線の一部となりました。しかし、時代の変化に伴い、1980年（昭和55年）11月2日付で北方線が全線廃止されたことに伴い、北方停留場もその歴史に終止符を打ちました。

歴史

北方停留場の開業は、前述の通り1907年（明治40年）2月23日、小倉軌道が城野と北方を結ぶ区間に鉄道を開業させたことに始まります。開業からしばらく経った1918年（大正7年）1月14日には、小倉軌道の事業が小倉電気軌道に引き継がれ、停留場の運営会社が変更されました。

大きな転機が訪れたのは1920年（大正9年）です。この年に小倉電気軌道によって電化工事が行われることになり、城野から北方にかけての軌道が移設されることになりました。従来の香春街道に沿ったルートから、その西側に新しく建設された道路上へと軌道が移し替えられ、同年9月21日に新たな場所での運行が開始されました。

第二次世界大戦中の1942年（昭和17年）には、鉄道会社の再編が進みました。同年3月2日には九州電気軌道が小倉電気軌道を合併し、北方停留場は九州電気軌道の駅となりました。さらに同年9月22日には、九州電気軌道を中心に西日本鉄道が設立され、北方停留場は西日本鉄道北方線の一部となりました。

戦後も地域交通の一翼を担いましたが、都市構造の変化やモータリゼーションの進行などにより、北方線は廃止の方針が示されます。そして1980年（昭和55年）11月2日、北方線が全線廃止されたことにより、北方停留場も70年以上の歴史に幕を下ろしました。

停留場構造

北方停留場の特徴的な構造として、停留場部分で上下線の軌道が一つに収束し、1本の着発線となっていた点が挙げられます。乗降場は、この単線部分の東側に安全地帯（プラットホーム）のない降車場が、西側には安全地帯のある乗車場が配置されていました。これにより、列車到着時には乗客は西側の安全地帯で待ち、降車時は東側の路面に降りる形になっていたと考えられます。

停留場周辺

停留場の周辺には、地域の主要な施設が点在していました。現在北九州市立大学となっている北九州大学や、陸上自衛隊の駐屯地である小倉駐屯地、そして小倉競馬場などが近くにありました。特に陸軍施設へのアクセス拠点としての役割は重要でした。

廃止後の状況

北方停留場が廃止された後、路面上に設けられていた乗降場などの設備は完全に撤去され、現在では当時の痕跡を確認することはできません。停留場の跡地付近には、現在、西鉄バス北九州の「北方・北九州市立大学前」バス停留所が設置されており、地域の公共交通を担っています。

また、北方線の代替交通機関として建設された北九州高速鉄道（北九州モノレール）小倉線の北方駅は、かつての北方停留場の場所から北西方向へ約700メートルほど離れた位置に設けられています。直接的な代替駅とは異なり、やや離れた場所に新しい駅が設置された形となっています。

隣の停留場（廃止時点）

西日本鉄道北方線
北方一丁目停留場 - 北方停留場

この停留場は、地域の発展や人々の移動、そして戦前の軍事拠点としての歴史を物語る存在でした。現在は鉄道遺構としては残っていませんが、その歴史は地域の記憶として残されています。

参考文献

• - 奈良崎博保 「追跡風土記 西鉄北九州線をゆく(3)」 『鉄道ジャーナル』1971年11月号（No.55）
• - 奈良崎博保 『福岡・北九州 市内電車が走った街 今昔』 JTBパブリッシング、2002年

関連項目

• - 日本の鉄道駅一覧
• - 西日本鉄道北方線
• - 北九州市立大学
• - 陸上自衛隊小倉駐屯地
• - 小倉競馬場

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