北星駅

北星駅：宗谷本線に花開いた、そして消えた小さな駅

北海道名寄市智恵文地区に位置していた北星駅は、JR北海道宗谷本線に属する駅でした。現在は廃駅となっていますが、その歴史や構造、周辺環境など、多くの物語を秘めた存在でした。

開業から廃止まで：地域と共に歩んだ軌跡

北星駅は1956年（昭和31年）、宗谷本線の気動車運転開始に伴い、仮乗降場として誕生しました。地元住民の熱意ある陳情と、彼らの手で建設されたホームによって運行が開始されました。仮乗降場としての開設当初から、近隣の児童生徒を中心に一日平均約30人の利用がありました。その後、1959年（昭和34年）には正式な旅客駅に昇格し、地域住民の生活を支える重要な拠点となりました。

しかし、時代と共に利用客は減少の一途を辿り、JR北海道は2016年（平成28年）に名寄市に対し、駅の廃止意向を伝えました。その後、宗谷本線活性化推進協議会を通じて、沿線自治体に対して存続または廃止の判断が求められ、2020年（令和2年）3月、名寄市は廃止を容認。同年3月27日には、廃止容認がJR北海道に伝えられ、2021年（令和3年）3月13日、長い歴史に幕を閉じました。廃止後は待合所が解体され、「毛織の北紡」の看板などは北国博物館に寄贈されました。

駅の構造と周辺環境：静かな佇まい

北星駅は、線路の北東側に位置する地上駅で、木製の単式ホーム1面1線を有していました。分岐器を持たないシンプルな棒線駅であり、ホームからスロープで外へ出入りできる構造でした。開業当初から無人駅として運用され、名寄駅が管理していました。ホームから離れた場所に、下見板張りの木造待合所があり、赤い「毛織の北紡」の看板が印象的でした。かつては小さなトイレもありましたが、2010年（平成22年）までに撤去されています。

1970年（昭和45年）には駅周辺に12軒の民家がありましたが、廃止時には1軒のみとなっていました。周辺環境の変化も、駅の利用者減少に影響を与えたと考えられます。

駅名の由来：北の地に輝く星

駅名は、所在する集落名に由来しています。名寄市の北部という地理的条件から「北山」と呼ばれていましたが、「北」の字と輝く「星」を組み合わせ「北星」という地名となり、駅名にも採用されました。

資料：

* 名寄市史編さん委員会 編『新名寄市史』 2巻、名寄市、2000‐11。

まとめ：

北星駅は、地域住民の生活を支え、そして時代の流れと共に静かにその役割を終えた駅です。その歴史は、地方の過疎化や鉄道の現状を象徴する事例として、後世に語り継がれるべきでしょう。駅周辺の変遷や、住民の思いを伝える資料なども合わせて、この小さな駅の物語は、日本の地方鉄道の歴史の一端を垣間見せてくれます。

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