北朝 (日本)

北朝（ほくちょう）

北朝とは、日本の南北朝時代において、足利氏を中心とした持明院統の朝廷を指します。この朝廷は全国の多くの武士や公家、さらには大覚寺統の皇族から支持されていました。南北朝時代の分裂は、後醍醐天皇の建武政権が崩壊した1336年以降に起こりました。この時、吉野に位置する南朝（大覚寺統後醍醐流）と対をなす形で、北朝が形成されたのです。

北朝の成立と光厳院政

鎌倉幕府が崩壊すると、持明院統の光厳上皇は後醍醐天皇の政権に対抗する形で、後醍醐天皇軍を「凶徒」と指摘し、彼の追討を命じる院宣を発布しました。これを受けて足利尊氏が入京し、建武政権は崩壊。光厳上皇はその翌月から権力を掌握し、尊氏は武家政権を築く作業を始めました。一方、後醍醐天皇は比叡山に逃げ、その抗戦を続けました。

光厳はその12月に光明天皇を践祚させ、北朝の体制が確立されます。この過程で三種の神器の問題が発生し、北朝と南朝の間で真贋が対立しました。その後、北朝は室町幕府の支持を受け、政権の安定を図る政策を進めていきました。

新北朝とその混乱

光厳上皇の治世の中で、足利氏内の衝突が観応の擾乱を引き起こし、南朝との和睦が成立。また、南朝の侵攻により、光厳・光明・崇光の三上皇が捕らわれる事態が続きました。後光厳天皇は幾度かの亡命を余儀なくされ、最終的に数度にわたり京都を奪還するも、南北朝間の戦争は続きました。これにより北朝の権力基盤が揺らぎ、朝廷内の政治家たちの不安が高まったのです。

権威の低下と財源問題

室町幕府にとって、北朝は権威を支持する大切な存在であると同時に、南朝との抗争に必要な資金源となります。北朝は公家の領地を補償する代わりに寺社の所領を利用し、戦後は元の所有者に戻す形での取り決めがありましたが、実海面から見ればその多くは武士によって奪われ、幕府の方針はうまく運参ことはありませんでした。

正平一統の成立以降、南朝は後光厳天皇を「偽主」と非難し、北朝もまた公家たちに対する制裁を実施しました。このように、権力基盤は徐々に不安定さを増し、朝廷の権威が失墜していくことになります。

南北朝統一とその後

1392年、南朝の後亀山天皇との和睦を経て、南北朝の統一が実現しますが、北朝としての権威は形式上ながらも動揺の跡が見えます。称光天皇以降、後光厳天皇の血統が断絶すると北朝初代の光厳天皇の曾孫が皇位を継承する形となり、こうして北朝は名目上存続することとなります。

その後、921年には明治政府によって、南朝が正統とされる決定が下され、北朝の直接の皇位継承が無視される結果になります。この決定は、北朝の天皇たちが正統な立場に無いとされる運命を決定づけたのです。それでも、後花園天皇までは北朝の影響が色濃く残り、文化的な背景として現代に影響を及ぼしています。

まとめ

北朝の歴史は、複雑な政治的背景と武士に支えられた権力争いが織り成す力のバランスの歴史であります。南北交代の中での皇統争いは、日本の歴史において深い影響を与え続けていると言えるでしょう。

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