北村泰一

北村 泰一（きたむら たいいち）

北村 泰一は、1931年に京都市で生まれた日本の地球物理学者であり、九州大学の名誉教授として知られています。長いキャリアを通じて、地球物理学の分野において多くの貢献を果たしてきました。

学歴と経歴

北村は、京都府立京都第一中学校及び鴨沂高等学校を卒業後、1950年に京都大学理学部地球物理学科に入学しました。大学時代には山岳部に所属し、スキーや登山の技術を磨きました。1954年に卒業後は大学院に進み、修士課程で長谷川万吉教授のもとで研究を始めました。ここで、彼は地磁気についての指導を受け、南極観測隊への参加の機会を得ることになります。

最初の南極観測隊に参加する際、長谷川教授の推薦を受け、当時の隊長であった永田武との関係がこじれたため、山岳部の先輩である今西錦司に助けを求める形で西堀栄三郎副隊長の紹介状を得ました。そして、最年少の25歳で第1次南極地域観測隊の一員として南極に向かうことになります。観測隊ではオーロラの観測だけでなく、犬の訓練も担当し、犬ぞりの経験を積みました。

南極での経験

1957年、南極へ渡った北村は越冬隊員となりましたが、1年後の1958年には南極から帰国することになります。越冬隊では、当初の計画が変更され、基地に残した15頭の犬たちとともに帰国することを余儀なくされます。1959年に行われた第三次観測隊にも参加し、ここでも再び生き延びた犬たちに再会する機会を得ました。

学問的な歩み

1965年には自身の研究成果をまとめた論文『Geomagnetic pulsations and the earth's outer atmosphere』で、京都大学から理学博士の学位を授与されました。その後、同志社大学工学部講師やブリティッシュコロンビア大学の客員助教授を経て、九州大学理学部で教授として勤め、1995年には名誉教授となりました。

1994年にはチベットのココシリ高原で調査中に高山病にかかるも、無事に一命を取留めることができました。

主な著作

北村は数多くの著作を通じて南極観測の重要性や経験を広めてきました。主な作品には、1982年に出版された『南極第一次越冬隊とカラフト犬』や、同じ年の絵本『カラフト犬物語、南極第一次越冬隊と犬たち、生きていたタロとジロ』があります。また、2007年には『南極越冬隊　タロジロの真実』を著し、南極観測隊が経験した出来事やタロとジロに関する真実を紹介しました。

監修や関連文献

さらに、彼が監修した書籍としては、嘉悦洋との共著である『その犬の名を誰も知らない』があり、これは2020年に出版されました。このような活動を通じて、北村は日本における南極科学の発展に寄与し、その経験を次世代へと伝える役割を果たしています。

北村泰一の研究や業績は、地球物理学の分野だけでなく、南極観測の歴史においても重要な位置を占めています。彼の生涯にわたる努力と成果は、多くの人々にとってのインスピレーションとなることでしょう。

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