北洋通商大臣

北洋通商大臣（ほくようつうしょうだいじん）

北洋通商大臣は、清朝末期に設置された欽差大臣であり、略して北洋大臣とも呼ばれました。満洲語では「amargi namu i baita be kadalara amban」と表記されます。

北洋通商大臣の成立

アロー戦争後の1861年、清朝は対外的な通商と外交事務を円滑に進めるため、総理各国事務衙門を設置しました。その下に、三口通商大臣と五口通商大臣が置かれ、それぞれ担当地域における対外的な窓口としての役割を担いました。

当初の三口通商大臣は、天津に駐在し、天津条約と北京条約によって開港された牛荘（現在の営口市）、天津、登州（現在の威海市と煙台市北部）の通商事務を管轄していました。初代の三口通商大臣には崇厚が任命されています。

北洋通商大臣への改称と職務

1870年、三口通商大臣は北洋通商大臣と改称され、その職務範囲が拡大されました。この時、直隷総督が北洋通商大臣を兼任することとなり、直隷省（現在の河北省）、山東省、奉天省（現在の遼寧省）の三省における通商、洋務、外交、海防など、幅広い分野を統括するようになりました。北洋通商大臣は、清朝の対外政策において非常に重要な役割を担うこととなりました。

歴代の北洋大臣

歴代の北洋通商大臣には、清朝末期の重要人物が名を連ねています。特に有名なのは以下の人物です。

李鴻章：洋務運動を主導し、清朝の近代化に尽力した人物。
王文韶：清朝末期の政治家で、外交や財政分野で活躍。
栄禄：清朝末期の軍人で、西太后の側近として権勢を誇った。
袁世凱：清朝末期から中華民国初期にかけて活躍した軍人・政治家で、後に中華帝国の皇帝を自称。

これらの人物が北洋通商大臣を務めたことは、この役職が清朝末期の政治においていかに重要であったかを物語っています。

北洋通商大臣の意義

北洋通商大臣は、単なる通商事務の担当者ではなく、清朝の対外政策を担う重要なポストでした。特に、洋務運動が進められる中、西洋列強との交渉や軍備増強など、近代化を推し進める上で中心的な役割を果たしました。また、北洋艦隊の建設にも深く関わっており、清朝の海防強化においても重要な役割を担っていました。

北洋通商大臣の存在は、清朝末期の政治情勢を理解する上で欠かせない要素であり、その歴史は、当時の中国が直面していた課題や、その対応策を考察する上で重要な手がかりとなります。

脚注

特にありません。

関連項目

南洋通商大臣：清朝末期に設置された、南方の通商事務を担当した欽差大臣。
北洋艦隊：清朝末期に編成された近代海軍。
* 北洋軍閥：清朝滅亡後、袁世凱を中心として台頭した軍閥。

北洋通商大臣についてさらに深く知るためには、これらの関連項目も参照することをおすすめします。

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