総理各国事務衙門

総理各国事務衙門

総理各国事務衙門（そうりかっこくじむがもん）は、清朝末期に設立された外交機関です。英語では「The Office for the Management of Foreign Affairs」として知られています。1861年1月から1901年9月まで存続し、その間の清朝の外交や洋務政策に大きな影響を与えました。本機関の設立は、清朝の外交体制の大きな転換を象徴しており、それまでの朝貢を基にした一元的ではない外交構造を見直す必要性が高まりました。

沿革と設立の背景

清朝の外交は、地域ごとに異なる機関が担当しており、統一された外交機関は存在しませんでした。外交の役割は外務省のような機関に一元化されておらず、外国との貿易や外交交渉は、それぞれの地域を管轄する機関が分担していました。しかし、西洋諸国との正式な外交体制が整っていないことが問題視され、アヘン戦争やアロー戦争を通じてそれが顕在化しました｡

1860年代に入り、英仏連合軍により北京が制圧され、下された条約によって、清国政府は外務省に相当する機関を設立することを求められました。これに応じて、恭親王奕訢らの主導の下、1861年に総理各国事務衙門が設立されました。これにより、清朝の外交は新たな局面を迎えるとともに、近代的な外交機関の先駆けともなったのです。

外交上の機能

総理各国事務衙門は、設立当初は恭親王が中心となって効果的に機能し、多くの外交政策に対応しました。ただし、実際の権限は皇帝によって随時決定されるため、総理衙門の公式な決定権は制限されていました。1868年には、他国との貿易関税問題に取り組む一方で、ヨーロッパへの使節団派遣も行いました。

しかし、恭親王の失脚後、状況は厳しくなり、外交の実権は徐々に他の機関に移行していきました。特に、李鴻章が北洋通商大臣に任命されると、実質的な外交の中心が天津に移り、総理衙門の影響力は次第に低下していったのです。日[[清戦争]]の時期には、李鴻章のいる天津が事実上の外務省として機能していました。

洋務運動への関与

ただし、外交の枠を超えた活動も行い、国内の近代化に寄与する方向性を強く持っていました。洋務運動として知られるこの改革は、工業や軍事教育の充実を図る TRYの機会を生み出でした。特に同文館では外国語教育の他に、多様な近代教育を発信し、「洋務内閣」と呼ばれるほど関与が深まりました。ただし、この動きは海外からは「改革が遅い」と捉えられ、国内の保守派からは「売国行為」との批判も受けました。

組織体制と人員構成

総理各国事務衙門は、正規の政府機関とは異なり、軍機処の下部組織として運営されました。そのため、文書の管理を担当する役人や大臣が協力して外交事務を進める体制が整えてありました。当初の責任者は恭親王であり、引き続き彼に従う形で各大臣が役割を担ったのです。機関内には、イギリス、フランス、ロシア、日本、アメリカなどとの交渉を担当する各国股があり、それぞれで特定の問題を扱う分業が行われていました。

このように、総理各国事務衙門は清朝外交の発展の象徴でありましたが、時代の変遷とともにその存在感は希薄になり、1901年の義和団の乱を受けて外務部に取って代わられました。総理衙門の歴史は、清朝の変遷における重要な教訓を示しています。

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