北海道警察学校

北海道警察学校

「北海道警察学校（ほっかいどうけいさつがっこう）」は、北海道警察に採用された警察官に対し、職務に必要な知識や技能、そして心構えを育成するための重要な教育機関です。所在地は北海道札幌市南区真駒内南町にあります。

特徴と役割

北海道警察が管轄する区域には、他の都府県警察を包括的に管轄する警察庁の地方機関である管区警察局が設置されていません。このため、通常、管区警察学校が担う新人警察官以外の教育課程の一部も、北海道警察自身が実施しています。その結果、この北海道警察学校では、新規採用された警察官向けの「初任科教育」に加え、昇任に伴う「任用科教育」として、巡査部長や警部補を目指す警察官に対する研修・訓練も一手に担うという特徴があります。これにより、北海道警察の組織全体の人材育成を包括的に支える役割を果たしています。

沿革

北海道における警察官養成機関の歴史は、明治時代にまで遡ることができます。1887年（明治20年）には函館に、次いで1891年（明治24年）には札幌にそれぞれ巡査教習所が設けられました。これらの教習所は1924年（大正13年）に廃止され、新たに北海道庁警察部の附属機関として北海道庁警察練習所が設置されます。

戦後、1947年（昭和22年）12月には、この北海道庁警察練習所の庁舎を引き継ぐ形で北海道警察学校が開校しました。しかし、翌年の1948年（昭和23年）3月には、当時の札幌警察管区本部に札幌管区警察学校が設置されたため、北海道警察学校はいったんその役割を縮小します。その後、警察機構の再編成を経て、1954年（昭和29年）9月には札幌管区警察学校が廃止され、再び現在の形に近い北海道警察学校が設置されることになりました。

施設の移転や拡充も順次進められています。1958年（昭和33年）12月には札幌郡豊平町真駒内へ移転。1968年（昭和43年）11月には、現在の所在地である真駒内南町に新築移転を果たしました。敷地内には、1959年（昭和34年）に北海道警察機動隊が移転してきたほか、1973年（昭和48年）9月には殉職警察官の功績を称える碑が中島公園から移設され、慰霊の場となっています。比較的最近の動きとしては、2015年（平成27年）8月に新たな生徒寮である「北寮」が竣工し、2019年（令和元年）9月には各種実技訓練を行う術科棟、2023年（令和5年）9月には学校の中心となる本館がそれぞれ移転・整備されるなど、施設の近代化も図られています。

組織

学校の組織体制は、学校長を筆頭に、副校長、そして教育内容や学校運営に応じた各部が設けられています。学校長は警視正の階級にある警察官が務めますが、時期によって警察庁からのキャリア組が着任したこともあれば、北海道警察採用のノンキャリア組が務めることもありました。副校長は警視が務めます。

学校には、庶務部、初任部、教務部、指導部、術科室といった主要な部門があります。庶務部は学校運営に関わる事務や会計などを担当する部署です。初任部は、新規採用された警察官がまず受ける基礎教育である初任科教育や学生の規律ある生活指導を行います。教務部は、総務・警務、刑事・生活安全、地域・交通、警備といった、警察業務の多岐にわたる分野の専門的な知識や法規などを教える中心的な役割を担います。指導部は、巡査部長や警部補に昇任した警察官への任用科教育を中心に、警察官としての高い職務倫理や規範意識の指導を行います。そして術科室では、警察官にとって不可欠な、拳銃の安全な取り扱いや、柔道・剣道・逮捕術といった武道の訓練、その他各種実技訓練が集中的に行われています。これらの各部門が連携し、警察官としての基礎能力から高度な専門性、そして現場で求められる実務能力を高めるための体系的な教育を提供しています。

もう一度検索