北米スカンヂナビアン・アライアンス・ミッション

北米スカンヂナビアン・アライアンス・ミッション (SAM)

団体の概要と設立

北米スカンヂナビアン・アライアンス・ミッション、通称SAM（当時の英語名称は “Scandinavian Alliance Mission of North America”）、現在の名称はTEAM: The Evangelical Allience Missionです。この宣教団体は、日本のキリスト教史において重要な役割を果たした日本同盟基督教団の前身にあたる、日本同盟基督協会の母体となりました。

1891年、F. フランソンによってアメリカ合衆国のシカゴで設立されました。その組織運営は、ハドソン・テーラーが立ち上げたチャイナ・インランド・ミッションを範としており、特定の教派に限定されない超教派の精神で伝道活動を行うことを目的としていました。また、米国福音自由教会を中心とした信仰宣教団（フェイス・ミッション）の形式を採用し、会員の信仰と献身に支えられる形で運営されていました。SAMの活動範囲は広範に及び、日本だけでなく、中国、朝鮮、インドといったアジア諸国、さらには南米やアフリカ大陸など、世界各地で宣教を展開しました。

日本への伝道開始と初期の成果

SAMの日本への働きかけは、設立間もない1891年に始まりました。同年11月、創設者であるフランソンの熱意溢れる呼びかけに応じた15名の宣教師たちが日本の地を踏みました。未知の宣教地での働きは困難も伴い、到着後まもなく1名の宣教師が天然痘によって病に倒れ、帰天するという悲しい出来事もありました。しかし、残された宣教師たちは福音宣教に力を尽くし、その働きはわずか1年で目覚ましい成果を上げました。この初期の活動で35名がキリストを信じて洗礼を受け、さらに13名の日本人協力者が彼らの伝道活動を支えるために加わりました。これは、SAMの日本における堅固な基盤を築く上で非常に重要な一歩となりました。

宣教地の拡大と地域への根差し

日本での活動が軌道に乗り始めた頃、創設者F. フランソン自身が日本の宣教地を視察するために海を渡りました。1894年、彼はインド、中国を経て日本を訪れ、当時の日本のキリスト教界の指導者の一人であった日本組合基督教会の小崎弘道と会談しました。この会談の中で、小崎は今後の宣教地として日本の特定の地域、具体的には山深い飛騨地方と伊豆地方をフランソンに示唆しました。これらの地域は、当時まだ十分に福音が行き渡っていないフロンティアであり、新たな伝道の機会がそこにありました。

フランソンが示した方向性を受け、SAMはこれらの地域での伝道を開始しました。特に飛騨地方への伝道は、1895年に2人の婦人宣教師が派遣されたことから始まりました。彼女たちの献身的な働きにより、地域社会に福音の種が蒔かれ、やがて実を結び始めました。その働きが具体的な形となったのが、1899年に設立された最初の会堂です。これは飛騨地方におけるSAMの活動が地域に根差した証であり、集会所としてだけでなく、地域住民との交流の場ともなりました。

また、飛騨だけでなく、小崎弘道が示唆したもう一つの地域である伊豆地方、特に伊豆諸島の大島や、関東地方の房総半島などでも宣教活動は積極的に進められました。これらの地域にもSAMの宣教師たちが派遣され、それぞれの土地の特性に合わせた方法で福音を伝え、教会形成の働きが進められていきました。SAMが日本各地に広げた宣教のネットワークは、後に日本同盟基督協会、そして現在の日本同盟基督教団へと繋がる重要な流れを作り出すことになったのです。SAMの開拓者精神と地域に根差した宣教活動は、日本のプロテスタント史における貴重な一頁を飾っています。

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