北米回廊

北米回廊（CANAMEX Corridor）とは

北米回廊は、北米自由貿易協定（NAFTA）に基づいて設立された、カナダ、アメリカ合衆国、メキシコの3カ国を結ぶ一連の交通路の改良計画です。当初は高速道路の整備が中心でしたが、鉄道、パイプライン、光ケーブル網など、他のインフラの整備も視野に入れています。この回廊は、北米の物流と経済活動を効率化し、地域間の連携を強化することを目的としています。

起源

北米回廊の構想は、1991年のISTEA高速道路法案にその原型が見られます。その後、1995年11月28日に議会を通過した公法104-59、通称「1995年全国高速道路システム指定法」によって正式に定義されました。この法律によって、北米回廊の具体的なルートと整備目標が定められました。

経由地

北米回廊は、以下の地域を経由しています。

カナダ

ブリティッシュコロンビア州
州道97号線（アラスカ・ハイウェイ）
州道2号線：ドーソン・クリークから州境まで
アルバータ州
州道43号線：州境から州道16号交点まで
州道16号線：エドモントンまで
州道216号線：エドモントン市内
州道2号線：エドモントンからカルガリーを経てフォート・マクラウドまで
州道3号線：フォート・マクラウドからレスブリッジまで
州道4号線：レスブリッジから国境まで（州間高速道路15号線に接続）

アメリカ合衆国

モンタナ州：州間高速道路15号線
アイダホ州：州間高速道路15号線
ユタ州：州間高速道路15号線
ネバダ州
州間高速道路15号線：州境からラスベガスまで
州間高速道路515号線：ラスベガスからヘンダーソンまで
国道93号線および州間高速道路11号線：ヘンダーソンから州境まで
アリゾナ州
国道93号線：州境からウィッケンバーグまで
国道60号線：ウィッケンバーグからフェニックスまで（この区間は正式には回廊に含まれていない）
州間高速道路10号線：フェニックスからツーソンまで
州間高速道路19号線：ツーソンから国境まで

メキシコ

ソノラ州：メキシコシティ - Mexico Federal Highway 15D

高速道路の整備

アメリカ合衆国を通過する区間は、特に高優先路線として整備が進められています。NAFTAの規定により、北米回廊に指定された路線は最低4車線に拡幅されることになっています。2008年の時点で、アメリカ合衆国通過区間の84％、メキシコ国内の86％が拡幅整備済みです。カナダ国内については、2007年までに全区間の整備が完了しています。

ボトルネックの解消

回廊の初期段階では、アリゾナ州内に2つのボトルネックが存在していました。

1つ目は、国道93号線のフーバーダム周辺の区間でした。ヘアピンカーブが多く、速度低下の原因となっていましたが、2010年12月にフーバーダムバイパスが開通し、この問題は解消されました。

2つ目は、フェニックス周辺の分断箇所でした。正式な回廊では、州間高速道路10号線（I-10）から国道93号線（US 93）への連絡が必要ですが、US 93はフェニックスの北西までしか伸びていません。このため、I-10とUS 93の間は、国道60号線で結ばれていましたが、この道路は条約基準を満たしていませんでした。この問題を解決するために、アリゾナ州道303号線を改良・延長し、回廊に組み込む案が採用され、ほとんどの区間で改良が完了しています。

また、ラスベガスからカサグランデまでを州間高速道路11号線で結ぶ第2の提案もなされています。

鉄道

北米自由貿易協定では、鉄道路線も北米回廊に指定されています。ユニオン・パシフィック鉄道は、すでに州間高速道路15号線に沿って、ラスベガスからカナダ、フェニックスからメキシコまでの路線で運行しており、ほぼ北米回廊に沿った経路となっています。しかし、ラスベガスとフェニックスを結ぶ直接的な路線はなく、現状ではカリフォルニア州バーストウまで迂回する必要があります。

関連項目

パンアメリカンハイウェイ
キャナムハイウェイ

参考文献

北米回廊プロジェクトウェブサイト（英語）

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