北陸鉄道モハ2300形電車

北陸鉄道モハ2300形電車の歴史

北陸鉄道モハ2300形電車は、1961年3月に日本車輌製造によって製造された路面電車用の車両です。この車両は、金沢市内線において最後の新製車両であり、全鋼製の車体を持ち、前作のモハ2200形に類似しつつも、独自の駆動システムを特色としています。

北陸鉄道での運用

モハ2300形は、製造当初は2両（モハ2301・2302）が製造され、金沢市内線で使用されましたが、その運用は1967年までのわずか6年間に限られました。この年に金沢市内線が廃止されると、両車両は豊橋鉄道に譲渡されました。これにより、モハ2300形はモ300形として再スタートを切ります。

車両の特性

北陸鉄道在籍時代のモハ2300形は、静粛性や乗り心地の良さが際立つ高水準の車両でした。しかし、金沢市内線の規格に合わせて造られているため、車両は幅が小さく、定員も限られている2扉構造でした。モハ2300形は全軸駆動で、駆動方式は吊り掛け式を用い、電気ブレーキや空気ブレーキが搭載されるなど、技術的にも優れたものでした。

豊橋鉄道への移行

1967年5月26日に豊橋鉄道に入線した後、モ300形303号・304号として運行を開始しました。豊橋鉄道では、比較的新しい製造年から小規模な改造にて運用されることになり、塗装も元のままで使用されました。明るいカラーリングと新しい車両の印象は、東田本線においてひと際目を引く存在でした。

改称とワンマン運転

1968年には改番を受け、モ3300形3301号・3302号と改称されます。さらに1971年にはワンマン運転に対応するための改造が行われ、バックミラーや運転表示板が設置され、運行が効率化されました。その後、1973年には新しい塗装「新豊鉄色」に塗り替えられることになり、見た目も一新されました。

1977年には、運転台寄りから中央にパンタグラフを移設し、1990年代に入ると、広告塗装に変更されるなど、多くの変遷を経ました。しかし、冷房化改造が困難な小型車両であったため、予備車扱いとなることが多く、ついに2000年に廃車が決定されました。

廃車後の運命

廃車後は長い間車庫に留置されていましたが、アメリカの鉄道博物館への寄贈が計画されるも、同時多発テロの影響で実現には至りませんでした。その後、鉄道総合技術研究所に譲渡され、改造されて運動エネルギー回収の実験車両として運用されることになりました。

2005年には、ハイブリッド電車としての実験も行われ、技術研究に貢献しました。こうした歴史を経て、現在では栃木県の那珂川清流鉄道保存会によって保存されており、その存在が地域の鉄道史における重要な役割を果たしています。

主要諸元

• - 製造年: 1961年（昭和36年）
• - 製造者: 日本車輌製造
• - 定員: 70人（座席定員は30人）
• - 自重: 13.0t
• - 全長: 11,500mm
• - 全高: 3,820mm
• - 全幅: 2,200mm
• - 台車: 日本車輌製造製 NS-16
• - 電動機: NE-22B（出力 22.4kW、4基設置）
• - 集電装置: パンタグラフ

このように、北陸鉄道モハ2300形電車は、その誕生から廃車、再利用に至るまで多くの歴史的背景を有し、鉄道の進化を象徴する存在として残ることになりました。

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