匠秀夫

匠秀夫

匠秀夫（たくみ ひでお、1924年11月28日 - 1994年9月14日）は、北海道出身の美術評論家です。近代日本美術史研究、中でも挿絵に関する深い知識と考察で知られています。

生涯

匠秀夫は1924年（大正13年）に北海道で生まれました。学歴は、札幌一中（現在の北海道札幌南高等学校）を卒業後、京都大学文学部選科を中退。その後、北海道大学文学部西洋史学科を卒業し、同大学院（旧制）を修了しました。教員を経て、1966年（昭和41年）から札幌大谷短期大学教授に就任。1968年（昭和43年）からは神奈川県立近代美術館に勤務し、1981年（昭和56年）には同館長となりました。1987年（昭和62年）には茨城県立美術博物館（現在の茨城県近代美術館）の館長に就任しています。

業績

匠秀夫は、美術評論家として、近代日本洋画史や挿絵に関する研究で多くの著書を出版しました。彼の研究は、これまであまり注目されてこなかった挿絵という分野に光を当て、近代日本の美術と文学の関係性を明らかにする上で重要な役割を果たしました。また、美術館長としての経験も活かし、美術作品の展示や研究を通じて、美術の普及と発展に貢献しました。

著書（一部）

『近代日本洋画の展開 近代日本洋画史序説』 (昭森社, 1964)
『中原悌二郎 その生涯と芸術』(旭川市, 1968; 木耳社, 1969)
『三岸好太郎 昭和洋画史への序章』(北海道立美術館, 1968; 求竜堂, 1992)
『近代日本の美術と文学 明治大正昭和の挿絵』(木耳社, 1979)
『絵を描くこころ 日本の近代画家たち』(岩波ジュニア新書, 1980)
『大正の個性派 栄光と挫折の画家群像』(有斐閣, 1983)
『棟方志功讃』(平凡社, 1984)
『物語昭和洋画壇史』(形文社, 1988-89)
『日本の近代美術と幕末』(沖積舎, 1994)
『日本の近代美術と文学 挿絵史とその周辺』(沖積舎, 2004)

共著・編著（一部）

『日本の名画 36 小出楢重』(講談社, 1972)
『小熊秀雄 詩と絵と画論』(三彩社, 1974) - 小田切秀雄と共編
『日本の名画 23 佐伯祐三』(中央公論社, 1975)
『現代日本の美術 8 国吉康雄・三岸好太郎』(集英社, 1976) - 村木明と共著
『巨匠の名画 11 岸田劉生』(学習研究社, 1976) - 河北倫明と共編

翻訳

『エドワルド・ムンク』(美術出版社, 1974) - トーマス・M.メサー解説


匠秀夫は、その研究と活動を通じて、近代日本美術史の理解を深め、多くの人々に美術の魅力を伝えました。彼の業績は、今後も美術研究者や愛好家によって参照され、評価され続けるでしょう。

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