十二辰

十二辰とは

十二辰（じゅうにしん）は、古代中国の天文学における重要な概念の一つであり、天球を東から西へ向けて十二等分する手法を指します。この分割は天の赤道帯に沿って行われ、それぞれの辰には十二支が当てられています。具体的には、子（し）、丑（ちゅう）、寅（いん）、卯（ぼう）、辰（しん）、巳（し）、午（ご）、未（び）、申（しん）、酉（ゆう）、戌（じゅつ）、亥（がい）がその名称です。

この分割方法は、戦国時代以降に特に用いられるようになり、太陽や月、惑星の位置を表現し、その運行を解明するための座標系として幅広く使用されました。十二辰は、他の天球分割法である十二次と同じ領域を持ちながら、配置の方向が異なります。十二辰が東から西へと配置される理由は、日周運動の方向と一致しており、また地上の方位である十二支とも関連しているためです。

太歳紀年法

十二辰の重要な応用の一つに、太歳紀年法があります。この方法は、木星が約12年で天球を一周することを利用しており、木星が年間に1辰ずつ移動することを示します。しかし、木星の進行方向は十二辰の配置とは逆であるため、古代の人々は木星の円軌道に直径を引き、その直径を基準にして木星と対称な位置に存在する仮想の惑星、太歳を想定しました。この太歳の位置を用いて年を記録するようになり、例えば「太歳在子（太歳が子にある年）」のように記述されました。

その後、年を表す方法としては十干も併用されるようになり、干支によって年が記録されるようになりました。ただし、この時点では干支はまだ太歳の位置を表すものでありました。木星の公転周期は正確には11.862年を数えます。これにより約86年が経過すると、太歳の位置は1辰ずれることになります。この現象は「超辰」と呼ばれ、必要に応じて改暦の際に調整されました。

具体的な改暦の例としては、太初元年（紀元前104年）を丙子から丁丑に改める変更がありましたが、後の三統暦では遡って太初元年を丙子に戻し、太始2年（紀元前95年）についても乙酉から丙戌に変更するという形で行われました。

その後、後漢の時代においては超辰の補正を行わなかったため、干支は太歳の位置にかかわらず60年で1周するメカニズムに基づいた紀年法が導入され、現在に至っています。したがって、干支紀年法がどの時点から使用され始めたか正確に断定することはできませんが、太初暦の太歳紀年や三統暦の太歳紀年を基にすれば、太初元年または太始2年からの干支が現在まで続いていると言えるでしょう。

関連項目

• - 二十四節気
• - 十二支
• - 十二次
• - 二十八宿
• - 黄道十二宮

このように、十二辰は古代中国の天文学や紀年システムにおいて、非常に重要な役割を果たしており、今日でもその影響が見られます。

もう一度検索