十四年式十糎加農砲
十四年式十糎加農について
十四年式十糎加農は、1920年代初頭に開発された大日本帝国陸軍の加農砲で、その正式名は十四年式十糎加農砲と呼ばれます。この砲は、日本における自動車牽引（機械化砲兵）の初実用型であり、かつ、開脚式砲架を備えた初の実用砲でもありました。
概要
第一次世界大戦の欧州戦場において、砲兵戦術の進展や射程の延伸が求められる中、十四年式十糎加農の開発が進められました。既存の七年式十糎加農を基に、野戦重砲兵に必要な大威力の砲を新たに設計することが目的となりました。
1918年7月には、「甲第177号」として開発案が提出され、その翌月には試製審査が実施される運びとなります。当初の設計では8馬輓曳を前提としていましたが、1920年7月には自動車牽引も考慮に入れられ、改装された試製砲は1923年に完成しました。その後、12年式十珊加農として仮に制式制定されることとなりました。
しかし、その設計にはフランスのシュナイダー社が保有する特許が影響を及ぼすことが判明したため、暫定的な形での制式制定のままとされました。1925年には特許の期限が切れたため、正式に十四年式十糎加農として制式化されました。
技術的特長
この加農砲の閉鎖機は段隔螺式で、装填は分離薬筒によって行われます。使用される装薬は三号帯状薬であり、強装薬と定装薬の2種類が用意されています。強装薬は長距離砲撃において使用される尖鋭弾に特化しており、他の弾種は定装薬で発射されますが、特定の状況に応じて使い分けることが可能です。射表もそれぞれの弾種に合わせて作成されています。制定当初の射程は最大で13,300メートルでしたが、尖鋭弾の進歩により、最終的には15,300メートルにまで延長されました。
自動車牽引に関しては、制定当初は十分な牽引車が存在しませんでした。1928年には国産の50馬力牽引車が導入されましたが、性能には不満が残りました。最終的に1931年にホルト30型が輸入され、ここでようやく機械化牽引の実績が証明されました。加えて、九二式十糎加農用に開発された九二式五屯牽引車の配備により、全面的な機械化が実現しました。
運用と歴史
十四年式十糎加農は、後続の九二式十糎加農の採用後も依然として重要な役割を果たしました。第二次世界大戦では、九二式十糎加農や九六式十五糎榴弾砲とともに、野戦重砲兵連隊において使用され続けました。戦争の終結まで、この砲は日本軍の戦力の一翼を担ったのです。
使用される弾種
十四年式十糎加農で使用される弾種には、以下のようなものがあります：
これらの特徴や使用方法から、十四年式十糎加農は当時の日本陸軍において重要な火力を提供し続けました。
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