十四年式十糎高射砲

十四年式十糎高射砲について

十四年式十糎高射砲（じゅうよねんしきじっせんちこうしゃほう）は、1925年に日本陸軍によって正式に採用された重高射砲です。この砲は主に都市や要塞の防空を目的とし、約70門が生産され、運用されました。

開発経緯

この砲の開発は、以前の十一年式七糎半野戦高射砲の性能が限られていたことを背景に始まりました。特に、防空のための射高が不足していたため、射撃装置の基本構造は同じでありながら、口径を105mmに拡大して改善を図りました。開発は十一年式七糎半野戦高射砲と同時に開始され、七年式十糎加農砲を基にして設計されました。

しかし、口径の拡大によって様々な問題が発生し、試製砲の完成工程は遅れました。最終的に、1924年に実用試験が行われ、機械式時限信管の開発も同年に進展しました。1925年に正式に制式化され、要地防空用の固定した陣地高射砲として位置付けられました。

この砲は、重量が5トンにも達したことから、移動手段に制約がありました。ただし、専用のトレーラーなどを利用すれば、指定された地点に30分以内に設置することが可能でした。

性能と運用

射高や初速は、前のモデルである十一年式七糎半よりも大きく向上しましたが、口径の拡大に伴い弾薬も重くなったため、発射速度は1分間に1〜2発とやや遅めでした。これは実用には不十分であったため、1928年から自動装填装置の研究が始まりました。1936年にはこの装置が完成し、最大発射速度は1分間2〜3発に向上しました。

この十四年式高射砲は、制式化された後、本土には移動せず、主に西部高射砲集団の高射砲第133連隊および134連隊に配備されました。特に北九州の八幡製鉄所の防空に貢献しました。また、一部は1933年の臨時装甲列車や1934年の九四式装甲列車に搭載され、満州や中国大陸での活動にも従事しました。

結論

十四年式十糎高射砲は、日本陸軍において重要な役割を果たした重高射砲であり、西部防空力の中核として機能しました。この砲の設計と運用は、日本の防空戦略の一部としてどのように適応されたかを示す良い例となっています。

もう一度検索