十字行

十字行（じゅうじこう）

十字行とは、正教会において奉神礼として行われる、聖堂の外での行列または行進のことを指します。英語では「Crucession」、ロシア語では「Крестный ход」と表現され、信者たちが神の民として一つとなり、天国に向かって進む姿を象徴しています。十字行は特定の教会の祭礼に合わせて実施されることが多く、同様の意義を持つ行事に「聖入」がありますが、聖入は主に聖堂内で行われます。

概要

この奉神礼では、信徒たちが聖堂を出発し、周囲を歩くことで神聖な行進が行われます。行列は蝋燭、十字架、旗などを先頭にして進み、詠隊や教衆が続き、さらに多くの信徒が後に続きます。十字行は特定の日や奉神礼にて実施されることが多く、一例として受難週間の聖大土曜日や復活大祭、神現祭、生神女就寝祭、モレーベン、埋葬式などで行われることがあります。また、不朽体やイコンの移動の際にも十字行が伴うことがあります。

聖歌との関係

十字行の最中には、聖歌が歌われます。これらの聖歌は、行われる奉神礼の種類に応じて異なるため、特別な意味やメッセージを伝える重要な要素となります。例えば、復活大祭では「ハリストス、救世主や」というステヒラ第六調の聖歌が唱えられ、特有の雰囲気を醸し出します。

聖大土曜日においては、イイスス・ハリストス（イエス・キリストのギリシャ語での呼称）の「眠りのイコン」が棺形で担がれ、その際に聖三祝文も歌われ、神聖な儀式が進められます。また、葬送式においても同様の行進が行われ、担がれた故人の棺を前にしながら聖三祝文が歌われます。

意義と背景

このような十字行は、信者にとって教会と神への帰属意識を強化し、共同体の一体感をもたらす重要な役割を果たしています。行進の中での聖歌や儀式は、心の中に深い信仰を根付かせ、神聖な場面への思いを新たにするきっかけになります。信者同士が共に行動することで、神への敬虔な思いが深まり、教会共同体の絆が強まります。このような背景から、十字行は正教会において特別な意味を持つ行事として位置づけられています。

参照文献

十字行についての詳細な情報は、以下の文献を参照してください：

• - 高橋保行『ギリシャ正教』179頁、講談社学術文庫 1980年 ISBN 9784061585003（4061585002）

こうした奉神礼は、正教会信者にとって深く意義のある行事であり、彼らの信仰生活や霊的な体験の重要な一部として受け入れられています。

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