千之赫子

千之赫子（ちの かくこ）

千之赫子（1934年2月9日 - 1985年6月18日）は、昭和時代に活躍した日本の女優です。宝塚歌劇団の娘役として舞台を踏み、退団後は映画やテレビドラマで幅広い役柄を演じました。本名は若和田 光子（わかわだ みつこ）。

生涯

京都府京都市伏見区に生まれた千之赫子は、幼少期から学業に励み、東山女子高等学校に進学しましたが、宝塚歌劇団への情熱を捨てきれず中退。1950年に宝塚音楽学校に入学し、1952年に宝塚歌劇団に入団しました。

39期生として入団した彼女の同期には、朝丘雪路や眞帆志ぶきなど、後に名を馳せるスターたちがいました。初舞台は「アメリカーナ／春の踊り」。娘役として花組に所属し、舞台で活躍しました。

1958年、千之赫子は宝塚歌劇団を退団。退団後すぐに、映画監督・五所平之助に見出され、映画「蟻の街のマリア」で初主演を果たします。この作品で、彼女はカトリック信者の女性を熱演し、1958年度の製作者協会新人賞を受賞しました。

その後は、松竹映画を中心に数々の映画に出演。1965年には、日本舞踊家の東千代之介と結婚し、公私ともに充実した日々を送りました。

1967年に映画界を引退してからは、テレビドラマに活動の軸足を移し、数多くの作品に出演しました。特に、1980年から1981年にかけて放送された「3年B組金八先生」第2シリーズでは、非行に走る息子を抱える母親役を演じ、その演技は多くの視聴者の心を打ちました。

1985年6月18日、持病の喘息が悪化し、慢性呼吸不全のため51歳という若さで亡くなりました。

主な出演作品

映画

蟻の街のマリア（1958年）
愛と希望の街（1959年）
秋日和（1960年）
古都（1963年）
男の顔は切札（1966年）
銀の長靴（ブーツ）（1967年）

テレビドラマ

三匹の侍（1967年）
水戸黄門（1969年）
新・平家物語（1972年）
3年B組金八先生 第2シリーズ（1980年 - 1981年）

エピソード

映画「蟻の街のマリア」は、実話に基づいた作品であり、千之赫子の演技は高い評価を受けました。
宝塚歌劇団出身でありながら、退団後は市井の人々を演じることが多く、その演技力は幅広い層から支持されました。
「3年B組金八先生」では、問題児の母親役を熱演し、視聴者に強い印象を与えました。
夫である東千代之介の活動を陰で支え、良妻賢母としても知られていました。

千之赫子は、その短い生涯の中で、舞台、映画、テレビドラマと、様々な分野で才能を発揮し、多くの人々に感動を与えた女優でした。

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