千代田形

千代田形（ちよだがた）

千代田形は、幕府海軍から日本海軍に引き継がれた歴史的な軍艦で、日本で初めて建造された国産の蒸気砲艦です。名前の由来は江戸城の別名「千代田」に関連し、設計段階では同型艦の建造が計画されていたことから「形」が付けられました。しかし、実際には1隻のみの建造に終わりました。

概要

千代田形は、幕末の軍艦としては初めて国産で時代の最先端となる蒸気機関を搭載した砲艦でもありました。この艦は、小型艦を多数配備することを目的としており、当時の幕府は江戸湾などの港湾の防御を強化するための施策として考えていました。結局、計画された同型艦は造られることはなく、本艦がその象徴的存在となりました。

建造の経緯

千代田形の建造は、幕府の小型砲艦による江戸湾警備計画に基づいており、1859年1月に建造命令が出されました。設計は小野友五郎と春山弁蔵が担当し、建造は石川島で行われ、機関の製造は長崎製鉄所で進められました。1862年に起工し、1866年に完成、ボイラーの製造は佐賀藩に変更され、田中久重父子によって行われました。

戊辰戦争と艦歴

1868年、戊辰戦争の際には、新政府軍に艦船を譲渡する約束があったものの、榎本武揚が拒否したため、千代田形は旧幕府艦隊に留まります。その後、いくつかの戦闘や敵艦隊との接触がありました。8月には旧幕府脱藩兵の輸送を行い、さらに日々の戦闘に参加しましたが、成り行きで一時的に飛島に閉じ込められることにもなります。この中で、艦が傾いたり座礁したりするなど、幾多の困難を経験しました。

特に1869年の宮古湾海戦では、艦隊が新政府軍との応戦を行い、最終的には艦長の判断ミスにより座礁してしまい、その後拿捕されました。この結果、艦長は降格されるという厳しい処分を受けました。

日本海軍への移行と運用

1869年5月、千代田形は新政府軍の艦籍に移され、艦名が「千代田形」と正式に定められました。しばらくの間、練習艦として使用され、1870年代には徐々にその役割を変えつつ、艦隊の警備任務につくようになりました。この時期、艦艇としての訓練や戦闘能力の向上に努め、他の艦艇とともに日々の運用を行いました。

除籍とその後

1888年1月28日、千代田形は除籍され、その後千葉県に引き渡されました。海運業に転用され「千代田丸」として使われたと言われているものの、その後の詳しい経歴は不明です。最終的に1911年には解体されたとの記録が残っています。

艦長履歴

千代田形には多くの艦長が就任しました。明治2年には三上三郎や石川武直が艦長を代行し、その後に磯辺包義や原俊則が艦長として任命され、艦の運営を支えました。艦長の交代は艦の運営において重要な役割を果たし、それぞれの艦長は様々な出来事を通じて艦の歴史を刻んでいきました。

千代田形は、日本海軍の中でも特異な存在であり、幕末から明治初期にかけての艦船の歴史においても重要な役割を果たしました。エポックメイキングな艦であり、国産蒸気砲艦としてその地位を確立した歴史があります。

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