千早 (通報艦)

千早（ちはや）

千早は日本海軍の水雷砲艦（または通報艦）であり、艦名は名勝である千早城に由来しています。この艦は、運送船「千早号」に続く2隻目の日本海軍艦船です。著名な歴史家、片桐大自はまた、艦名の背景に歌枕の「千早振る」からの影響があることを指摘しています。

船体と機関

千早は、ノルマン式のボイラー4基を搭載し、フランスのノルマン社で製造された蒸気圧は215 psi（15.1 kg/cm²）です。主機は横須賀で製造されており、高圧気筒の直径は27インチ（686mm）、中圧は40+5/8インチ（1,032mm）、低圧は60インチ（1,524mm）、行程は27インチ（686mm）です。艦は推進方式は2軸で、設計回転数は220rpmに設定されていました。

兵装

千早の兵装計画は以下の機器から構成されていました：

• - 12センチ速射砲 2門（弾薬：実弾200発、空砲20発）
• - 12ポンド速射砲 4門（弾薬：実弾300発、空砲20発）
• - 14インチ魚雷発射管 2門
• - 探照灯 2基

主要要目

1928年時点での千早の公表値は次の通りです：

• - 基準排水量: 1,133ロングトン（1,151 t）
• - 常備排水量: 1,263ロングトン（1,283 t）
• - 長さ: 83.19 m
• - 幅: 9.63 m
• - 吃水: 3.35 m
• - 乗員: 183名

艦歴

千早の設計は1895年11月25日に始まり、1897年には製造の訓令が発出されました。その際の総予算は816,488円でした。艦名「千早」は1898年10月18日に決定され、その後横須賀造船所で起工されました。進水式は1900年5月26日に行われ、明治天皇が立ち会いましたが、欠陥のある部品の影響で竣工は1901年9月9日まで延びました。

日露戦争において、千早は旅順攻略作戦や日本海海戦に参加しました。特に日本海海戦では、第二戦隊に所属し、敵艦に魚雷を命中させました。1912年には艦艇のクラスが変更され、一等砲艦に格上げされました。その後、1916年には第一次世界大戦の南洋諸島警備に従事し、1918年から1923年まではシベリア出兵の支援を行いました。

1928年には練習艦設備の工事が行われ、その年の9月1日に除籍され、雑役船に編入されました。1939年には練習船の任務を「阿多田」に引き継ぎ、最終的に廃船となりました。船体は終戦まで呉港外に残されていました。

艦長一覧

千早の艦長には多くの歴代の中佐が任命されており、志賀直蔵が初代艦長を務めた後、以降の艦長も海軍の歴史に名を残しています。特に、福井正義や南里団一、山岡豊一などが艦歴の中で重要な役割を果たしました。

千早の歴史は、日本海軍の艦船としての重要性と、艦艇の種類や役割の変化を示しています。

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